改訂新版 世界大百科事典 「会衆派教会」の意味・わかりやすい解説
会衆派教会 (かいしゅうはきょうかい)
Congregational Church
各個教会の会衆の自治と独立を,教会の政治と運営の基本とするプロテスタントの一教派。かつては組合教会と呼ばれた。16世紀イギリスのR.ブラウンらの〈分離派〉改革運動に起源をもつものでイギリスにも残るが,アメリカでさかんになった。アメリカの植民地時代の初期ピューリタン,ピルグリム・ファーザーズやマサチューセッツに上陸した人々の教派である。そのためにニューイングランドの支配的な教会となり,アメリカの政治,社会の思想や制度組織への影響が大きい。いわゆるピューリタン神権政治の中核であったが,神学教育のみならず一般教育にも関心が深く,ハーバード,イェール,スミス,アマースト,オベリンなど多くの大学を設立した。神学的には本来はカルビニズムであったが,民主的な会衆主義のゆえに漸次リベラルとなり,人道主義的な思想や運動と結びつきやすい。いち早く奴隷制度に反対し,南北戦争のあと南部に黒人のための大学を設立した。外国伝道と教育に熱心で1810年にアメリカン・ボードで知られる外国伝道団体を組織し,インド,中国,日本に宣教師を多く派遣した。同志社の創立者新島襄を助けたのはこのボードであり教派であった。したがって日本の会衆派教会とは,同志社の神学部を卒業し,1941年の日本基督教団成立以前の日本組合基督教会に加わった牧師たちを主体とする教会のことである。社会や政治の動向や問題に敏感に反応し,社会主義などにもいち早く共鳴する点は日米共通で,日本でも安部磯雄が出ている。日本では同志社,神戸女学院,大阪女学院,梅花学園などが会衆派系の学校である。正統的な教理からも比較的自由であるために,最新の神学的動向に影響されやすい傾向をもっている。教会としての統合力が弱いために,教会としてはあまり大きくならない。より自由なユニテリアンや,より保守的かつ伝統的な教派へと,教会員が転ずる場合が少なくない。
執筆者:古屋 安雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報