精選版 日本国語大辞典「似」の解説
にる【似】
〘自ナ上一〙
① 互いに同じさまに見える。形状や性質に共通点があり、どちらも同じように見える。
※万葉(8C後)三・四二五「河風の寒き長谷(はつせ)を歎きつつ君が歩くに似(にる)人も逢へや」
② そのことと匹敵する。それと等しい価値がある。また、つりあう。相応する。
※土左(935頃)承平四年一二月二九日「くすしふりはへて、とうそ、白散、さけくはへてもてきたり。こころざしあるににたり」
に・せる【似】
〘他サ下一〙 に・す 〘他サ下二〙
① 似るようにする。につかわしいようすにする。まねる。
※枕(10C終)三七「楊貴妃の帝の御使にあひて泣きける顔ににせて、梨花一枝春雨を帯びたりなど言ひたるは」
② 模造する。まねて作る。贋造する。
とうば・る たうばる【似】
〘自ラ四〙 (「とうばる(賜)」と同源。貴人の容貌をいただくというところから) 貴人などの姿や形を受けてその人に似る。
※書紀(720)雄略四年二月(前田本訓)「面貌(かほ)容儀(すかた)天皇に相似(タウハレ)り」
の・る【似】
〘自ラ四〙 「にる(似)」の古語。
※書紀(720)皇極三年七月(岩崎本室町時代訓)「其貌全(もは)ら養蚕(かひこ)に似(ノレリ)」
※醍醐寺本遊仙窟康永三年点(1344)「意を得るに、鴛鴦に似(ノレリ)」
たうば・る【似】
〘自ラ四〙 ⇒とうばる(似)
に・す【似】
〘他サ下二〙 ⇒にせる(似)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報