小説家。北海道札幌市生まれ。札幌月寒(つきさむ)高校卒業。立正大学文学部中退。1968年(昭和43)から72年まで京都や東京、神奈川など各地を転々とするも、74年に地元へ戻り広告代理店に勤務。78年、東京の自動車メーカー本田技研に勤務。79年「鉄騎兵、跳んだ」で第55回『オール読物』新人賞を受賞し、作家デビュー。早くからワープロを導入し、3人の男女が北海道を駆けめぐる青春バイク小説『振り返れば地平線』(1983)は、おそらく日本で最初にワープロで原稿執筆された長編小説ではないかと本人は自負している。84年刊行の『真夜中の遠い彼方』(のち『新宿のありふれた夜』と改題)は、ベトナム難民の少女を新宿歌舞伎町から脱出させようとする酒場の店主を描くタイムリミット・サスペンスで初期の代表作とされる。作風は多彩で『夜を急ぐ者よ』(1986)、『犬どもの栄光』(1987)、『仮借なき明日』(1989)などのハードボイルド・サスペンス、『死の色の封印』(1984)、『白い殺戮者』(1986)といったホラー、『きみの素敵なサクセス』(1987)、『タイムアタック』(1988)といった詩情あふれる短編集など、それぞれにファンは多い。しかし佐々木譲の資質が花開いたのは『ベルリン飛行指令』(1988)、『エトロフ発緊急電』(1989。日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞受賞)、『ストックホルムの密使』(1994)と続く「第二次大戦三部作」だろう。昭和15年、ヒトラーの要請で日本からベルリンへ零(ゼロ)戦を飛行させようとした男の冒険を描いた第一作から、真珠湾攻撃をめぐる諜報戦を描く第二作、終戦工作を模索する第三作まで、シリーズを通して描かれるのは国家とは何か、国を愛する感情とは何かというテーマである。しかも3作に共通するのは、いずれも祖国を持たない男たちであった。そうした国家に対する思いは、一方で現実政党をモデルにした二世議員の野望を描く『愚か者の盟約』(1991)や国際謀略小説『ネプチューンの迷宮』(1993)の方向へと向かい、もう一方で『五稜郭残党伝』(1991)、『北辰群盗録』(1996)のような夢の実現へと向かった過去の出来事に向かう。その集大成が『武揚伝』(2001)で、本作により新田次郎賞を受賞する。
[関口苑生]
『『武揚伝』(2001・中央公論新社)』▽『『鉄騎兵、跳んだ』『死の色の封印』『白い殺戮者』(徳間文庫)』▽『『ベルリン飛行指令』『エトロフ発緊急電』『ストックホルムの密使』(新潮文庫)』▽『『新宿のありふれた夜』(角川文庫)』▽『『振り返れば地平線』『犬どもの栄光』『仮借なき明日』『夜を急ぐ者よ』『きみの素敵なサクセス』『タイムアタック』『ネプチューンの迷宮』『五稜郭残党伝』『北辰群盗録』(集英社文庫)』▽『『勇士は還らず』(朝日文芸文庫)』▽『『愚か者の盟約』(講談社文庫)』
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