佐賀錦(読み)サガニシキ

デジタル大辞泉 「佐賀錦」の意味・読み・例文・類語

さが‐にしき【佐賀錦】

縦糸に金銀箔を紙にはって細く切ったもの、横糸に多彩な絹糸を用いて、幾何学模様絵模様を織り出した手織りの錦織物。江戸中期、佐賀鹿島藩の鍋島家9代夫人創案という。紙入れハンドバッグなどに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「佐賀錦」の意味・読み・例文・類語

さが‐にしき【佐賀錦】

  1. 〘 名詞 〙 手織の錦織物の一つ。紙に金箔(きんぱく)を張って細く切ったものを経(たていと)にし、絹の色糸を緯(よこいと)に織り込んで、幾何学文様や絵模様を織り出したもの。江戸中期、佐賀鹿島藩の鍋島家の殿中で始められたものといわれるところから、この名がある。紙入れ、草履表、帯締め、ハンドバッグなどに用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「佐賀錦」の意味・わかりやすい解説

佐賀錦
さがにしき

江戸中期、肥前(佐賀県)鹿島(かしま)藩主9代鍋島直(なべしまなおすね)夫人が、家臣とともに考案創始した手織物の一種。鹿島錦と称され、鍋島家御殿女中の手によって伝承された。幕末期に一時沈滞したが、鍋島藩出身の大隈重信(おおくましげのぶ)夫人によって再興され、佐賀錦と改称されたのである。

 卓上織台は狂いにくい栓(せん)の木(ハリギリ)やホオノキの類を用いてつくられ、長さは約45センチメートル、幅は24センチメートル(小幅)、30センチメートル(中幅)、36センチメートル(大幅)の3種、高さは約15センチメートル、台裏には巻棒を2本取り付ける。緯(よこ)糸はすべて本絹糸を使うが、経(たて)糸としては特殊な金銀紙を用いる。長さ約60センチメートル、幅約24センチメートルの特殊な和紙に金銀箔(はく)を置いたもので、この経紙を上下各3センチメートルほど残して中を縦に細かく切れ目を入れて糸状にする。切れ目を入れる間隔は、20割(曲尺(かねじゃく)1寸を20条に分ける)から60割まで、5割ごとに段階がある。緯糸の太さは、20割から30割の経に対しては太糸、35割から40割には中糸、45割から50割には細糸、55割から60割には極細と、順次かえることとする。織り方は平織、綾(あや)織、模様織の3種が基本だが、経紙にあらかじめ模様を描いてから割って平織にするという新技法(井上式今様織)が開発され、より自由な表現が可能になった。ただ、材料が高価で織台の大きさにも制約があるため、用途としてはバッグ、札入れ、帯締、羽織紐(ひも)などの小物が中心。帯や衝立(ついたて)などにアップリケ的に用いられることもある。1994年(平成6)古賀フミが国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。

[秋山光男]


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改訂新版 世界大百科事典 「佐賀錦」の意味・わかりやすい解説

佐賀錦 (さがにしき)

織物の一種。江戸時代から佐賀藩支藩の鹿島藩家中で行われてきた手芸品。もとは鹿島錦と称していたが,1910年の日英博覧会に出品したときから佐賀錦と改称した。長さ45cm,幅30cmくらいの木製の組台に,金銀漆の箔の和紙を0.5~1mmに裁って経糸とし,多彩な絹糸を緯糸に用い,下に置いた図柄に従って竹べらで経糸をすくい,あぐり(一種の杼)を通し,綴錦風に柄を織り出したもの。現在も佐賀市,鹿島市でおもに生産される。趣味的な織物で綾織が主であるが,佐賀錦錦繡会では平織を主体にしている。両者とも高級な袋物や草履表地などに使われる。
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事典 日本の地域ブランド・名産品 「佐賀錦」の解説

佐賀錦[繊維・刺繍]
さがにしき

九州・沖縄地方、佐賀県の地域ブランド。
佐賀市で製作されている。江戸時代末期、鹿島藩主の夫人・柏岡の方の発案でつくられ始めたという。細く裁断した金・銀・漆を貼った和紙を縦糸、染色した絹を横糸として丹念に織り上げたもの。紋様は伝統的な網代・紗綾型・菱など多種多様。明治時代初期に一時その生産が中断されたが、佐賀県出身の大隈重信によって旧華族の間で再興され評判となった。当時はまだ鹿島錦と呼ばれていたが、1910(明治43)年、日英大博覧会に佐賀錦として出品し、以後佐賀錦の名が定着した。現在ではハンドバッグやネクタイ・名刺入れなど実用品から帯など大きな作品まで幅広く製作されている。佐賀県伝統的地場産品。

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百科事典マイペディア 「佐賀錦」の意味・わかりやすい解説

佐賀錦【さがにしき】

絹の錦織の一種。江戸時代に佐賀藩の女性たちが手仕事として作ったもので,現在も行われる。緯(よこ)糸は絹あるいは綿糸で,経(たて)糸には和紙に金・銀箔(はく)をはったものを細く切って用い模様を織り出す。上品で華やかなので帯,草履(ぞうり),袋物などにされる。

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デジタル大辞泉プラス 「佐賀錦」の解説

佐賀錦

佐賀県鹿島市の伝統的織物「鹿島錦」の別称。明治時代、ロンドンで開催された日英大博覧会に出品した際に、大隈重信の計らいにより命名。

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事典・日本の観光資源 「佐賀錦」の解説

佐賀錦

(佐賀県佐賀市)
さが天下逸品 佐賀百選」指定の観光名所。

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