恒温動物とも,また俗に温血動物ともいう。変温動物の対語。体温を一定に保つような調節機構をそなえた動物で,鳥類と哺乳類をさす。体温を一定に維持するということは細胞の活動を正常に保てるということになり,変温動物が体温低下によって活動できないような寒冷環境下でも,代謝のレベルを正常に保ち,活発に運動することができる。一般に体温は外温より高いので熱は外界に逃げることになるから,体温を維持するためには,効率のよい産熱機構とともにその熱を外に逃がさないように体表に保温層を備えることが必要である。鳥類の羽毛,哺乳類の毛はともに大きな断熱効果をもっている上に,立毛筋のはたらきで保温空気層の厚さを変えて放熱量を調節することができる。皮下脂肪もすぐれた断熱組織であって,海産の哺乳類ではとくにこれが発達している。外温の変化にかかわらず一定の体温を維持できる能力,すなわち,内部環境の恒常性の獲得によって,鳥類や哺乳類はその分布域を遠く寒冷地域にまで広げることに成功した。
定温性の程度は動物の種によって異なる。一般に下等な哺乳類(カモノハシ,アルマジロ,ナマケモノなど)の体温は低く,外温に従って変動する幅も大きい(異温性)。寒冷地にすむ小型哺乳類,たとえば,リス,コウモリなどは冬眠する。これは寒冷と食物不足にたいする適応である。体温維持のためのエネルギー消費は体の小さい動物ほど大きい。寒冷下では体で発生する全エネルギーの80~90%に及ぶといわれる。このような動物は食物の乏しい冬季には体温の維持が困難となり,一時的に体温を下げ(低体温),活動をやめて生きのびるのである。
執筆者:佃 弘子
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→恒温動物
…これらは行動的温度順応である。
[定温動物の温度適応]
鳥類と哺乳類には体温調節の機能が備わっており,外温の変化にかかわらず体温をほぼ一定に保って活動を続けることができる。この定温性を獲得することによって,陸生の脊椎動物はその分布範囲を寒冷地域にまで広げるようになった。…
…鳥類と哺乳類の体温は,環境の温度が変化しても,一定の範囲内に保たれている。このような動物を定(恒)温動物という。鳥類,哺乳類以外の動物はすべて変温動物であって,体温は外温に従って変動する。…
※「定温動物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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