余野村(読み)よのむら

日本歴史地名大系 「余野村」の解説

余野村
よのむら

[現在地名]豊能町余野

能勢のせ郡に属し、切畑きりはた村の西に位置する山村。北は丹波国桑田くわたまき村。余野川(牧川とも)が南流し、村の南部で切畑村より西流してきた切畑川と合流する。余野川の東岸を池田(現池田市)に至る余野道(摂丹街道)が通る。与野とも書かれた。慶安二年(一六四九)野間口のまぐち村を分離(大阪府全志)。郷帳類では一村扱いであるが、実際は上余野かみよの・下余野両村に分れる。建永二年(一二〇七)二月一五日の僧真空寄進状(壬生家文書)に「□進 堂舎等壱所事 在能勢郡銅山御領内仏照寺 □仏子真空、占能勢郡銅山御領内与野□□建立一堂也」、同年三月一六日の左大史小槻国宗下文案(同文書)に「下 採銅所司等 可永停止当所字与野山内仏照寺猟輩事」とみえ、当時の与野が能勢郡採銅所の領内であったことが知られる。仏照ぶつしよう寺のその後の推移については不明。宝治二年(一二四八)勝尾かつお(現箕面市)で般若会が興行されたが、その時の舞呪の一人として「長寸ヨノノ牧、十八」がみえる(「勝尾寺毎年出来大小事等目録」勝尾寺文書)

余野村
よのむら

柘植つげ町辺り、古代柘殖つみえ郷内の東方に比定される東大寺領内の村。保安四年(一一二三)九月一二日付の明法博士勘状案(東大寺文書)予野よの村とみえる。東大寺が天平宝字二年(七五八)柘殖郷内で買得した地一〇町(同年一一月二八日付「伊賀国司解」東南院文書)が発展の出発点と考えられる。地一〇町の四至の注釈として前記明法博士勘状案に「寺家勘状云、件東界朝宮谷者、予野東堺賀茂岱東深谷也、南界駅道者、予野南堺伊勢路也」とあり、さらに右の勘状案所載の貞観一三年(八七一)八月二五日大判官代阿閇望富売券には

<資料は省略されています>

とある。この史料から、予野は東側賀茂岱かもたい高峯あるいは東深谷、西側中山なかやま峯、南側伊勢路、北側鍋蔵なべくら山・蔵部くらぶ山に囲まれた地域のうち、西寄りにあったと考えられる。

余野村
よのむら

[現在地名]勝田町余野

真加部まかべ村の北、梶並かじなみ川右岸の谷間に位置する。北は西原にしばら(現奈義町)。「東作誌」によれば古くは上真加部村と称したが、小吉野こよしの庄七邑以外であるため余野村に改めたという。同書所引の永禄九年(一五六六)一一月一七日の難波利助宛盛方宛行状に小吉野庄余野村とみえるが、これは美野みの(現勝央町)の誤りとする説もある。正保郷帳に村名がみえ、田二〇五石余・畑四七石余。元禄一〇年(一六九七)美作国郡村高辻帳では改出高五七石余・開高二七石余で、村位は下。美作国郡村高并戸数里程事(武家聞伝記)によると延宝(一六七三―八一)頃と考えられる戸数三九(うち馬桑寺一一・せいた九・なる林二など)。元禄二年の鉄砲改帳(弓斎叢書)では用心鉄砲一・猟師鉄砲三。

余野村
よのむら

[現在地名]京北町大字細野ほその 余野

細川ほそかわ七ヵ村の一。大堰おおい川の支流余野川の上流に位置する山間集落。北は山を越えると西河内にしかわち(現京都市北区)、余野川を下ればたき村に達する。村内を丹波路が通る。古代は「和名抄」に記す池辺いけのべ郷に属し、のち細川庄に含まれる。

慶長七年(一六〇二)幕府領。寛文四年(一六六四)丹波篠山藩領となる。延宝七年(一六七九)の検地では高二五三・八一三一石とみえるが(西家文書)、元禄一三年(一七〇〇)丹波国郷帳では三〇三石余。その後の天保郷帳および旧高旧領取調帳は延宝検地と同高なので、元禄一三年丹波国郷帳の石高は疑問視される。

余野村
よのむら

[現在地名]大口町余野

北・東・南を小口おぐち村に取囲まれ、西は柏森かしわもり(現扶桑町)に接する。織田信雄分限帳に「三百五拾貫 よのゝ郷相違 滝善太郎」とあり、「よのゝ郷」と記されるのが文献上の初見。

小牧代官所支配下村。高五三九石余のうち四八九石余が藩士一二人の給知。田は六町二反九畝余、畑は五三町四反余。寛文一一年(一六七一)には戸数七二、人数四二一。「徇行記」によれば「漸々ニ糧戸ツブレ貧村ナリ、此村ハ畑多クシテ薄地ニハ茶圃入交レリ、茶ノ木ハ百年余ヲ経ザレハ大株ニハナラズ、又茶ヲ採ルニハ随分古枝ヲ伐テ若枝ヲ出スカヨロシト云、又沙地ナレハ大麦ハ実ラズ、茶・桑ノ間ニ多ク小麦・荏モ栽ルトナリ、桑葉ハ蚕養ノ比、他村ヘウリツカハス」村であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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