日本大百科全書(ニッポニカ) 「依田義賢」の意味・わかりやすい解説
依田義賢
よだよしかた
(1909―1991)
シナリオ作家。京都生まれ。1927年(昭和2)京都第二商業を卒業、住友銀行に勤めたが、翌年日活脚本部に入る。1936年、27歳で溝口健二(みぞぐちけんじ)監督の『浪華悲歌(なにわエレジー)』と『祇園(ぎおん)の姉妹(きょうだい)』の脚本を執筆。以後も『愛怨峡(あいえんきょう)』(1937)、『残菊物語』(1939)、『浪花女(なにわおんな)』(1940)、『夜の女たち』(1948)、『西鶴一代女(さいかくいちだいおんな)』(1952)、『雨月物語』(1953)、『近松物語』(1954)など溝口作品を担当した。ほかに『異母兄弟』(1957)、『荷車の歌』(1959)、『武士道残酷物語』(1963)があり、虐げられた女性を凝視。著書『溝口健二の人と芸術』は、不世出の監督との創作過程を記録した貴重な文献である。
[千葉伸夫]
『依田義賢著『溝口健二の人と芸術』(1970・田畑書店)』▽『依田義賢著『依田義賢シナリオ集』『依田義賢シナリオ集(2)』(1978、1984・映人社)』