債券を対象とした先物取引のこと。金融先物取引の一部。先物取引とは、将来の一定日(限月(げんげつ)=決済日のこと)に受け渡しを行う取引で、限月前に、売った場合は買い戻し、買った場合は売り払うという反対売買を行い、差金だけ授受してもよいとされる取引をいい、将来の値上がり、または値下がりに賭(か)け、売買差金を獲得しようとする差金取引である。債券先物取引の歴史は古いが、第二次世界大戦後に中断され、1985年(昭和60)10月に再開された。再開された取引は、架空の債権を設定し、それを売買するシカゴ取引所の方式である。東京証券取引所(東証)では、期限5年物(利率3%)と10年物(利率6%)の国債を設定して上場している。20年物(利率6%)も上場されていたが、2002年(平成14)から取引休止となった。アメリカ国債も一時は上場されたが売買が少なかったため廃止された。限月は3、6、9、12月の各20日。差金決済をしない場合は所定の現物の国債を授受する。国債価格の上昇は金利低下を、下落は金利上昇を意味するものであるから、債券先物取引とは金利への先行投機にほかならない。
[後藤 猛]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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