証券取引法(読み)ショウケントリヒキホウ

デジタル大辞泉 「証券取引法」の意味・読み・例文・類語

しょうけんとりひき‐ほう〔‐ハフ〕【証券取引法】

有価証券の発行・売買その他の取引を公正にし、その流通を円滑にすることによって、国民経済の適切な運営と投資者の保護に資することを目的として制定された法律。昭和23年(1948)施行。平成18年(2006)改正されて名称が金融商品取引法に変わる。→金融商品取引法

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「証券取引法」の意味・読み・例文・類語

しょうけんとりひき‐ほう‥ハフ【証券取引法】

  1. 〘 名詞 〙 有価証券の発行・売買その他の取引を公正にし、かつ有価証券の流通を円滑にすることによって、投資者を保護することを目的として昭和二三年(一九四八)に制定された法律。有価証券の募集・売買、証券業者、証券取引所などに関して規定。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「証券取引法」の意味・わかりやすい解説

証券取引法 (しょうけんとりひきほう)

国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資するため,有価証券の発行及び売買その他の取引を公正ならしめ,かつ,有価証券の流通を円滑ならしめることを目的として(証券取引法1条),1948年に公布された,証券取引を規制する基本法(1947年に公布された同名の法律が,一部が施行されただけで48年に全面改正されたもの)。当時の占領軍司令部の示唆に基づき,アメリカの1933年証券法および1934年証券取引所法を模範として制定され,それによって従前から存在した有価証券業取締法,有価証券引受業法及び有価証券販売業法は廃止された。

 証券取引法は,有価証券の投資判断に必要な情報の提供を目的とする企業内容の開示を要請し,証券取引に関係する証券会社および証券取引所等の機関の監督・規制を定め,かつ,証券取引を規制することを内容とする。

 企業内容の開示(ディスクロージャー)として,証券取引法は,有価証券の募集または売出しに際して有価証券届出書の公衆縦覧および有価証券を取得しようとする者に対する目論見書の交付を要請し,企業内容の継続的な開示のために有価証券が証券取引所に上場され,証券業協会に登録され,募集もしくは売出し(募集・売出し)のために大蔵大臣に届出をした会社または一定の外形基準に該当する会社に対して,有価証券報告書半期報告書および臨時報告書を提出して,それが公衆の縦覧に供されるようにすることを要請する。また,この関係で,証券取引法は,有価証券の公開買付けについて規定し,公開買付けの条件が均等であるべきこととともに,公開買付けに当たっては,公開買付届出書の公衆縦覧,公開買付けの公告および説明書の交付による開示を要請する(〈株式公開買付け〉の項参照)とともに,上場会社または店頭登録会社の発行済株式の5%を超える株式を有する者にその株式の保有状況の開示を要請している。

 証券取引に関係する機関の規制として,証券取引法は,証券会社,証券取引所および証券金融会社の免許制を定め,証券会社が組織する団体である証券業協会が証券取引を公正ならしめ,かつ,投資者を保護するために自主規制を行うべきものとしている。なお,証券取引法は,証券業協会のみならず,証券会社を会員とする証券取引所が証券会社に対して自主規制をなすべきものとするが,その自主規制自体を大蔵大臣が監督・規制すべきものとしており,その下での証券会社に対する規制は,実際上,大蔵省による直接の規制および大蔵省の監督・規制を受けた証券業協会および証券取引所による自主規制によって行われている。

 証券取引の規制として,証券取引法は,相場操縦および有価証券の募集または売出しを容易にするための安定操作を規制し,有価証券の投資判断に影響を及ぼす重要な未公表の情報を利用して証券取引を行うインサイダー取引を規制し,その他の不公正な取引を禁止している。なお,証券会社またはその役員もしくは使用人の不正取引については,証券取引法およびその下での〈証券会社の健全性の準則等に関する省令〉によって,とくに詳細にその禁止が定められている。

 証券投資信託の規制に関しては,証券投資信託の制度を確立し,証券投資信託の受益者の保護を図ることにより,一般投資者による証券投資を容易にすることを目的として,証券取引法とは別に,証券投資信託法が1951年公布されている。また証券投資顧問の規制に関しては,証券投資顧問業を営む者について登録制度を実施し,その事業に対し必要な規制を行うことにより,その業務の適正な運営を確保し,もって投資者の保護を図ることを目的として,投資顧問業法が1986年に制定されている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「証券取引法」の意味・わかりやすい解説

証券取引法【しょうけんとりひきほう】

有価証券の発行・売買等を公正に行うための証券市場の確立,投資家保護の徹底を目的とする法律(1948年公布・施行)。米国の証券法(1933年),証券取引所法(1934年)に範をとり,証券会社等の組織・活動の規制,証券業者の紛争の仲介制度等を定めている。1965年の改正で証券会社・証券外務員の規制が強化され,1971年の改正では外国証券会社が証券取引所の会員になる道が開かれるとともにTOBの制度が取り入れられた。その後,証券・金融市場の自由化が進むなかで,債券先物取引(1985年),株価指数先物取引インサイダー取引規制,ディスクロージャー(1988年)などの規定が追加・改正された。1991年,損失補填問題の再発防止のため,1.証券会社の一任勘定取引の禁止,2.事後の損失補填の禁止,3.顧客からの補填要求の禁止等を内容とした改正がなされた。1998年6月の〈日本版ビッグバン〉をめざす金融システム改革法により,本法も規制緩和の方向へ大幅に改正され,銀行本体も投資信託の販売ができるようになった。2006年6月,本法を改正すると同時に金融先物取引法などをあわせ,金融商品取引法が成立した(2007年7月施行)。
→関連項目金融商品取引法公認会計士証券業協会証券金融証券取引審議会東京証券取引所[株]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「証券取引法」の意味・わかりやすい解説

証券取引法
しょうけんとりひきほう

昭和23年法律25号。国民経済の適切な運営および投資家の保護のため,株券債券などの有価証券の発行および売買その他の取引を公正にし,かつ有価証券が円滑に流通することを目的として制定された法律。対象とした有価証券の範囲は商法で定める有価証券よりも狭かったが,1980年代半ば以降,日本の金融・資本市場の自由化,国際化が順次進展するのに伴って大幅な改正が重ねられ,コマーシャル・ペーパー CP,住宅ローン債権信託など新たな金融取引を有価証券とし,法律上の対象を拡大した。2006年6月に成立した「証券取引法等の一部を改正する法律」および「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」によって全面改正され,名称も金融商品取引法に改められた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「証券取引法」の意味・わかりやすい解説

証券取引法
しょうけんとりひきほう

国民経済の適切な運営および投資者の保護に資するため、有価証券の発行および売買その他の取引を公正ならしめ、かつ、有価証券の流通を円滑ならしめることを目的として1948年(昭和23)に制定された法律。2006年(平成18)の改正により、金融商品取引法に改名された。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

株式公開用語辞典 「証券取引法」の解説

証券取引法

証券取引に関する基本的な事項を定めた法律。証券会社は、この法律に基づいて、内閣総理大臣から登録を受け、営業活動を行っている。証券取引法は、このように、取引の相手方(投資家)の立場を尊重し、これを保護することによって、多くの発行体や投資家が自由に参加できる公正な市場を作ることを目的としている。有価証券という経済価値の特殊な媒体を対象とした取引であること、証券市場の動向が国民経済に大きな影響を与えることなどから、日常生活上の一般の取引と比べ、投資家の保護をより徹底するため、厳しくかつ詳細な規制を行い、違反者に対しては厳格な罰則を課していることに、その特徴がある。

出典 株式公開支援専門会社(株)イーコンサルタント株式公開用語辞典について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「証券取引法」の解説

証券取引法

証券取引に関する基本法。証券売買の公正、円滑化、投資家の保護を目的とし、1948年に制定された。証券取引所の機構、各種の情報開示、証券市場関係者の規制、有価証券の取引に関する規制など、証券取引全般を規定している。同法は、証券取引を取り巻く環境の変化にあわせて、幾度となく改定されている。最近の改正としては、99年の株式売買委託手数用の完全自由化や、2000年の証券取引所の株式会社化、04年の証券仲介業の解禁などがある。さらに、金融ビックバン以降、証券会社を免許制から登録制にするなど、大幅な改定が続けて行なわれている。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

会計用語キーワード辞典 「証券取引法」の解説

証券取引法

証券取引法とは上場会社などに適用され、投資家保護を主な目的としています。証券取引法の財務諸表は、企業会計原則に基づいて作成し財務諸表等規則などによる表示方法にのっとる必要があります。

出典 (株)シクミカ:運営「会計用語キーワード辞典」会計用語キーワード辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の証券取引法の言及

【証券取引所】より

…有価証券の売買取引を行うために必要な市場を開設することを目的として証券取引法に基づいて設立された組織または施設をいう(証券取引法2条11項)。証券取引所が有価証券の売買取引のために開設する市場を有価証券市場という(2条12号)。…

※「証券取引法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android