差金(読み)サシガネ

デジタル大辞泉 「差金」の意味・読み・例文・類語

さし‐がね【差(し)金】

(「指矩」とも書く)まがりがね。かねじゃく。
歌舞伎小道具の一。作り物ちょう・鳥・人魂ひとだまなどを操るための黒塗りの細い竹ざお。先端針金をつけ、これに作り物を取り付ける。
操り人形で、人形の腕や手首・指を動かすために用いる細長い棒。
3から転じて》陰で人に指図して操ること。「有力者差し金で動く」
[類語](1物差し差し曲尺かねじゃく矩差かねざし鯨尺鯨差し巻き尺メジャー/(4煽るけしかけるたきつける煽り立てるアジる吹っかける挑発する扇動する火を付ける火に油を注ぐ知恵を付ける入れ知恵

さし‐きん【差(し)金】

内金うちきん。手付け金。
不足を補うために出す金。

さ‐きん【差金】

差し引きした残りの金額差額

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精選版 日本国語大辞典 「差金」の意味・読み・例文・類語

さし‐きん【差金】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 代金一部として前もって支払う金。内金。手付金差銀。さしがね。
    1. [初出の実例]「サ、だんだん差(サ)し金(キン)して残金六十両遣はせば」(出典:歌舞伎・御国入曾我中村(1825)四立)
  3. 江戸時代錦絵出版にあたって、絵師彫師の代金の一部または全部を負担すること。→差し上げ

さ‐きん【差金】

  1. 〘 名詞 〙 ある金額から他の金額を差し引いた残りの金額。差し引きの金額。差額。
    1. [初出の実例]「其入札価額と次位の入札価額との差金を負担する義務あり」(出典:民事訴訟法(明治二三年)(1890)七〇五条)

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改訂新版 世界大百科事典 「差金」の意味・わかりやすい解説

差金 (さしがね)

操(あやつ)り人形の手首や指を動かすため,人形の腕の中にさし入れておく細い鉄棒をいう。人形の指先に糸をつけ棒にまとわせ,人形遣いが棒を操作して指を動かす。文楽の人形では左手に用いる。また,歌舞伎の小道具で,おもに小動物を動かすときに用いる棒も差金という。黒塗りの竹棒で,しなうように針金をつけ,そのさきに小道具の動物をつけて,後見(こうけん)が手に持って動かす。《鏡獅子(かがみじし)》の蝶,《関の扉(せきのと)》の鷹などが例。狐火,人魂などを表す焼酎火(しようちゆうび)の操作にも用いる。日常用語では,かげにいて人をあやつって使う意味に使われるが,人形用語から転じたものらしい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の差金の言及

【歌舞伎】より

…〈消え物〉の一種。 差金(さしがね)小道具の一種。主として鳥,蝶などの小動物を動かすために使う棒。…

【人形浄瑠璃】より

…人形の手は物を持つことができないので,右手首にU字型の指革に人差指を差し込んで人形遣いが自分の五指で持つ。また左手には差金(さしがね)という棒がついていて,この差金にある小猿の左右を引くと手首や指が動き,左手が物を持つときには左遣いが左手で持って左手指のそばに持っていく。 人形の足は原則として男だけにつけ,女は裾さばきで歩く姿を見せる。…

※「差金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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