夜間に照明器具から発せられる光のなかで、明るく照らす目的の範囲以外に漏れた光が及ぼす悪影響のこと。「こうがい」とも発音されていたが、公害と区別するため「ひかりがい」が一般的になった。都市化や交通網の発達などによる照明の増加、過剰な照明の使用がおもな理由で、そこから漏れた光は人や自然界に対して多くの障害を引き起こす要因になっている。たとえば、眩(まぶ)しさが周辺居住者へ不快感を与え、睡眠を妨害することがある。また、農作物や家畜の生育不良を招き、野生動植物の生育に対しても深刻な悪影響を及ぼし、害虫を誘引する原因ともなる。天体観測にも悪影響を与え、エネルギー効率の点からも無駄である。
環境庁(現、環境省)では大気汚染や光害を考える機会をつくろうと、年2回、全国の自治体で学校などから夜空を見上げるイベント、スターウォッチング・ネットワーク(全国星空継続観察)を1988年度(昭和63)から実施(2013年度から休止)。1998年(平成10)には光害対策ガイドラインを策定し、2006年(平成18)改訂した。ガイドラインでは、照明の目的によって視認性や安全性の確保のために必要な明るさやその領域、漏れた光の影響などを明確に示すと同時に、場所に応じて時間別に照度を変えるなど、悪影響を減らす照明のあり方が提案されている。1980年代後半からは自治体で独自の光害の対策に乗り出す地域が増え、美しい星空を守る美星町光害防止条例(1989年、岡山県美星町、現、岡山県井原市)、佐治村の美しい自然と星空を守る宣言(1996年、鳥取県佐治村議会決議、現、鳥取市佐治町)、高山村の美しい星空を守る光環境条例(1998年、群馬県高山村)などがある。
[編集部]
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