光の導波機能を利用する半導体レーザー、光導波路、光スイッチ、光変調器、光検出器などの光素子を同一基板上に一体化した集積回路。光ICともいう。光集積回路の考え方が提案されたのは比較的新しく、1969年ごろである。現状は、基礎的な現象の理解と素子の概念ができあがった段階で、実用化のための研究が始まったところである。
発光素子に他の部品をプラスする集積化については、ガリウムヒ素の基板上にレーザーダイオードと電界効果型トランジスタを集積するもの、および半絶縁性のインジウムリンの基板上に光回路や電子回路を複合化することが考えられている。受光素子に他の部分をプラスする集積化については、シリコン基板上にホトダイオードの受光素子と光回路や電子回路の複合化が一部実用に供せられている。また、インジウムリン基板上にpinホトダイオードと電界効果型トランジスタを一体化する技術も開発されている。発光素子と受光素子に他の部品をプラスする集積化については、ガリウムヒ素の基板上に受光素子としてのホトダイオードと埋め込み機構のレーザーダイオードを複合化し、さらに光回路あるいは電子回路を複合化する試みも行われているが、まだ研究初期の段階である。
光技術が通信、情報処理、その他の産業分野に広く用いられるには、光集積回路の実現が不可欠である。このため複合化光素子はこれからもいろいろなものが考案され、着実に技術の積み上げが行われていくと思われる。
[野村貞夫]
各種の光機能素子を一つの基板上に集積化し,幅広い機能をもたせるようにした光回路。光集積回路の基本構造は,薄膜導波路であり,透明絶縁基板上に屈折率のわずかに高い部分を作り光導波路を構成したものである。材料として半導体,強誘電体,ガラスなどを組み合わせて使用する。光機能素子としては,受動素子,制御素子,光源,受光器などがある。受動素子は光の結合・分岐,波長の分波多重などの機能を有するものが研究されている。制御素子としては,変調素子,スイッチ素子などがあり,素子の動作は電磁界,超音波などを用いて,材料の光学定数(屈折率など)を変化させることにより実現されている。このほか,光源,受光素子についても導波路を一体化した構造のものが研究されている。
現在,光集積回路として実用化された例はなく,前記の個別素子レベルの研究がなされている段階である。今後,個別素子の集積化に向けて,低損失材料の開発,各素子間の結合などの課題が解決されなければならない。
執筆者:島田 禎晋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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