広義には,通信路を通して送られてきた信号から,元の情報を復元することである。狭義には,電気通信において,送られてきた搬送波のパラメーター(振幅,周波数,位相など)の変化を検出し,変調信号を復元することである。この場合,検波detectionともいう。ここでは搬送波を正弦波として復調回路を説明する。振幅変調波の復調には,包絡線検波回路が用いられる。すなわち,搬送波が抑圧されていない振幅変調波を復調するには,半波または全波整流回路と,搬送波除去用の低域フィルターを用いて,受信信号の包絡線に比例した電圧を得ればよい。包絡線は,信号の振幅であるので,これで振幅変調波が復調できる。図1は,ダイオードを用いたもっとも簡単な包絡線検波回路である。抑圧搬送波の振幅変調波を復調するには,搬送波を再生する必要がある。変調信号が音声の場合は,復調において,周波数,位相が若干ずれてもかまわないので,独立な発振器で搬送波を再生すればよい。変調信号が音声以外で,復調において位相まで正しく復元する必要がある場合は,位相同期ループなどを用いて搬送波を再生する。角度変調波の復調には,周波数弁別回路,位相弁別回路が用いられる。周波数弁別回路には,フォスター・シーリー形,ラウンドトラビス形,パルスカウント形,直角位相形などがある。一例として,フォスター・シーリー形周波数弁別回路を図2に示す。この回路は,複同調回路をM結合し二次コイルのセンタータップに一次コイル出力を加えたものである。同調回路は,一次側,二次側とも中心周波数f0に同調している。入力信号の周波数をfとすると,f=f0のときには,E1とE2は90度の位相差を有するので,|ea|=|eb|となり,出力は0である。しかし,f≠f0となると,|ea|≠|eb|となり差が生じて出力が出る。以上に述べた振幅変調波,角度変調波の復調回路は,変調信号がアナログな場合,ディジタルな場合のいずれにも使用可能である。しかし,ディジタル通信の場合,これらの復調回路を用いると,誤り率がかなり悪くなる。そのため,低速周波数偏移変調で周波数弁別検波が用いられている程度で,一般には別の復調方式が用いられる。それは相関検波である。すなわち,受信側で送信波形と同じ波形(参照信号)を存在しうる送信波形の数だけ用意し,同期させたうえで受信信号と参照信号の相関を調べる。その結果,相関のもっとも大きかった波形を送信波形と推定する。実際には,回路のくふうにより,参照信号を送信波形の数だけ用意する必要はない。さらに,タイムスロット間の相関を利用した復調方式などもある。ディジタル通信の復調回路は,高速の場合はアナログ回路で作られるが,高速でない場合は,アナログ-ディジタル変換と組み合わせてディジタル回路で作られることが多い。ディジタル回路は,調整不要であり,また,信頼性の面で有利である。
執筆者:田中 良明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
通信システムにおいて伝送しようとする信号に対応した電流で変調された高周波電流から、受信側で元の信号電流の波形と相似した電流を取り出すことをいう。
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