公共投資基本計画(読み)こうきょうとうしきほんけいかく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「公共投資基本計画」の意味・わかりやすい解説

公共投資基本計画
こうきょうとうしきほんけいかく

1990年6月に最終報告が提出された日米構造協議 SIIにおいて,日本側検討事項中の基本認識では,経常収支黒字の縮小と並んで,社会資本整備の必要性・重要性の認識があげられている。これをうけて日本政府は同月 28日「公共投資基本計画」 Basic Plan for Public Investmentを閣議了解した。この計画は,21世紀に向け社会資本整備の充実をはかっていくうえでの指針であり,91年度から 2000年度までの 10年間の公共投資に関する枠組み,および基本方向を総合的に示すものである。そのため公共投資 10ヵ年計画ともいわれる。計画期間である 20世紀最後の 10年間は後世に残すべき良質な社会資本ストックを形成する貴重な期間と位置づけ,その間の公共投資総額を,弾力枠 15兆円を含む約 430兆円としている。これは過去 10年間の実績 263兆円の約6割増,国民経済計算上の公的固定資本形成に用地費,補償費などを加えたものである。また国民生活の豊かさを実感できる経済社会の実現に向けて生活環境,文化機能にかかわるものの割合を,過去 10年の 50%台前半から,今後 10年は 60%程度をめどに増加させることとし,上下水道,都市公園,廃棄物処理施設,さらに住宅については具体的な整備目標を設定している。このほか道路,地下鉄,厚生福祉施設,文教施設などにかかわる公共投資が含まれる。さらに民間活力が重要であるとし,民営化以前に公共投資に含まれていた JR,NTTなどの投資を 25兆円程度と見込んでいる。整備にあたっては,地価高騰を招かないように細心の注意を払うとともに,財源面でも租税公債,財政投資資金,民間資金などを適切に組合せる必要があるとした。さらに景気低迷の打破をねらって 94年 10月には新公共投資基本計画が策定された。これは 95年からの 10年間に総額 630兆円をもって行うというもので,生活環境の充実と経済の活性化が最優先されたほか,兵庫県南部地震に関連して弾力枠 30兆円が対策費用として盛込まれた。

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