公営賭博(読み)こうえいとばく

改訂新版 世界大百科事典 「公営賭博」の意味・わかりやすい解説

公営賭博 (こうえいとばく)

賭博や富くじは,射幸心を刺激し勤労意欲を損なうものとして,本来は刑法上の罪を構成する。しかし,おのおのの特別法(競馬法,自転車競技法,モーターボート競走法,小型自動車競走法,当せん金附証票法)に基づき地方公共団体等が施行する競馬競輪競艇モーターボート),オートレース宝くじについては,例外として違法性が阻却される。これらは俗に公営賭博あるいは公営ギャンブルと呼ばれているが,地方財政上の公用語としては収益事業と呼ばれる。競馬の開催を特許されている特殊法人日本中央競馬会を除いて,競馬,競輪,競艇,オートレースの施行権は,都道府県自治大臣の指定を受けた市町村など地方公共団体のみに与えられている。これら収益事業の歳入大部分は車馬券等の売上額であり,歳出の主なものは配当金(払戻金)である。払戻金は,各競技法により車馬券等の売上高の75%に相当する額と法定されている。そして残り25%から,開催経費,各振興会(地方競馬全国協会,日本自転車振興会,日本船舶振興会,日本小型自動車振興会)への交付金および公営企業金融公庫への納付金を除いた後の額が,施行者の収益金となり,当該地方公共団体の財政資金として普通会計公営事業会計に繰り入れられる。日本中央競馬会の施行する競馬事業でも,やはり売上額の75%は払戻金に充てられるが,収益金は国庫納付金として政府に納付される。宝くじの場合にも,その発行主体は都道府県および政令指定都市に限定され,収益金は地方公共団体の公共経費に充てるものと定められている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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