公示催告手続(読み)こうじさいこくてつづき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「公示催告手続」の意味・わかりやすい解説

公示催告手続
こうじさいこくてつづき

当事者の申立てにより、裁判所が公告して、所在不明の利害関係人に権利届出催告し(公示催告)、届出がない場合に権利失権または有価証券無効を宣言するための一連手続をいう。「非訟事件手続法」(平成23年法律第51号)第99条~第118条により規定され、簡易裁判所が管轄する(同法100条、115条)。

 裁判所は、公示催告の申立てが適法であり、かつ、理由があると認めるときは、公示催告手続開始の決定をするとともに、公示催告をする旨の決定をしなければならず、公示催告決定では、権利の届出の終期、催告に応じて権利を届け出ないことにより生じる失権の効力などを示さなければならない(同法101条)。裁判所は、この内容を掲示場に掲示し、かつ官報に掲載するなどして(同法102条1項)、届出の終期までに適法な権利の届出または権利を争う旨の申述がないときは、原則として、権利が失権する旨の除権決定をする(同法106条1項)。この除権決定に対しては、所定事由があるときは除権決定取消しの申立てをすることができる(同法108条)。

 有価証券が盗取紛失、滅失したときにその有価証券を無効とする場合については、有価証券無効宣言公示催告の手続が設けられている。この場合には、有価証券の最終所持人または有価証券により権利を主張することができる者が申立てをすることができる(同法114条)。この有価証券無効宣言公示催告では、権利を争う旨の申述の終期、申述をしないことにより有価証券を無効とする旨の宣言などを内容とする(同法117条)。裁判所は、除権決定において、有価証券を無効とする旨の宣言をし(同法118条1項)、これにより申立人は、その有価証券により義務を負担する者に対し、その有価証券の権利を主張することができるようになる(同法118条2項)。

[加藤哲夫 2016年5月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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