翻訳|war game
実際に兵員や車両,艦船,航空機を動かさないで,それらをプラスチック等の標識で代用し,指揮官や幕僚としての状況判断・幕僚勤務・指揮運用等の能力を教育・訓練するため,地図に展開した状況を中心に行う演習のこと。演習指導部が状況の推移等を教育目的等に沿うように計画し,それに基づいて,演習想定,第1状況,第2状況というように時間経過を追って戦況を進め,演習員はそれぞれあらかじめ決められた職務に応じて,戦況の進展に対応し,実際と同じような判断・計画・命令・指導といった戦術行為を自主的に判断して実施し,教育担当者がそのつど,必要に応じて指導するやり方を〈一方統裁〉方式という。これに対して,最初の想定と状況だけを示して,対抗する両軍から,それぞれ提出される命令等を統裁部でかみ合わせ,一つの戦闘ごとに勝敗を判定して,それぞれ両軍に“状況”として,その判定結果を実際の戦況のようにして知らせ,それに基づいて再び見積り・計画・命令と行動させ,実際の戦争のように“連続”した状況の推移を体得させるやり方を〈対抗兵棋〉という。判断力の養成に適する教育方式で,通常,戦術教育の最終段階に使われる方式である。演習時間と実時間の関係については,ある部分だけたとえば1対3というように縮めて,演習の効果を高める場合もあり,1週間連続実時間どおりということもある。どちらを採るかは,いつに演習目的による。また後方の司令部と連絡する第一線部隊の移動のために実際にかかる時間を,たとえ演習のために隣部屋に両者が配置されていても,廊下等でその所要時間を待機させられるのが普通である。いちばん問題になるのは,対抗兵棋における両軍が衝突した場合の彼我の戦果の判定である。実際の戦争でも,必ずしも兵力の多いほうが少ないほうに勝つとは決まっていないという兵理があるからである。そこで戦果判定の一つの方法として,たとえば兵力比が青2赤1の場合,1,2,3,4が出たら青軍勝ち,5,6が出たら赤軍勝ち,とあらかじめ兵力比による勝率を定め,実際に中立の審判員がさいころをふって,どの数が出るかは偶然に賭ける。したがって兵力2分の1の赤軍でも勝つことがある。また,その基礎となる戦力比は,単純な人員比とか,使用する全火器を小銃1挺の1分間の発射弾量に換算して行う火力比とかが使われる。現在世界各国とも,指揮官の指揮能力の差など,判定の困難な無形要素は,兵棋における戦果の判定基準の要素に入れていない。
執筆者:近藤 新治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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