幕僚(読み)バクリョウ(英語表記)staff

翻訳|staff

デジタル大辞泉 「幕僚」の意味・読み・例文・類語

ばく‐りょう〔‐レウ〕【幕僚】

帷幕いばく属僚。君主・将軍などを補佐して、重要な計画に参加する幹部
軍隊で、指揮官に直属して参謀事務に従事する者。

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精選版 日本国語大辞典 「幕僚」の意味・読み・例文・類語

ばく‐りょう‥レウ【幕僚】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 帷幕(いばく)の属僚。また、君主、将軍、大将などを補佐して謀議にあずかるもの。〔広益熟字典(1874)〕
    1. [初出の実例]「邏卒時々訊郷貫、幕僚往々列朝臣」(出典:柳北詩鈔(1894)三・秋懐十首)
    2. [その他の文献]〔宋史‐顔伝〕
  3. 軍隊で、参謀事務に従事するもの。旧陸軍では、参謀と副官との呼称。旧海軍では、このほか軍医長、主計長、法務長などを含めたものを称した。〔戦時大本営条例(明治三六年)(1903)〕
  4. 転じて、重要な計画に参加する部下
    1. [初出の実例]「君は堀君幕僚の一人ぢゃから必ず機密に参しておると想像して」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉増税)

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改訂新版 世界大百科事典 「幕僚」の意味・わかりやすい解説

幕僚 (ばくりょう)
staff

軍隊で高級の指揮官を直接補佐する者をいう。補佐には指揮官の企図全般に関する分野と専門事項に関する分野がある。旧日本陸軍では参謀と副官,旧海軍ではこれに軍医長などもあわせて幕僚と呼び,〈高等統帥ノ職務ヲ補佐シ殊ニ国防及用兵ニ関スル職務ニ参画シ又軍隊練成ノ職務ヲ掌ル〉者を参謀とした。

 幕僚は古代エジプトの軍隊に発生したといわれ,軍隊規模の拡大,戦場の広大化につれ軍隊の管理・維持,作戦面に補佐者を要するようになったことに起因している。大きな遠征を行い,新兵器の採用を図ったアレクサンドロス大王は,参謀長,高級副官,補給係などの幕僚を設け,カエサルは自らの幕僚経験を生かして幕僚組織を改善し,情報機能を独立させた。

 中世においては幕僚組織・機能ともにその発達に見るべきものはなかった。近世に入り火器の発達により軍隊管理,作戦に変化が起こり,このため幕僚組織の発達が促進された。ヨーロッパではドイツ,フランスに異なった幕僚組織が発達し,ドイツのものはより総合的な,フランスのものはより分化的な傾向をもった。ドイツの幕僚組織はオランダ王マウリッツの努力を経てスウェーデン王グスタブ2世(グスタブ・アドルフ)により行軍,宿営,管理面で著しく改善され,その影響はフランスを除く全ヨーロッパの軍隊に及んだ。しかし,古代からこの時代までの幕僚組織・機能は,いまだ最高指揮官の戦争指導における肉体的労働を省略できる域には至らず,グスタブ・アドルフも主要な正面での直接指揮を必要とした。

 近代に入り,ナポレオンの軍隊においてL.A.ベルティエ,次いでP.ティボーによる研究が行われ,初めて幕僚の手引書が刊行されるや短時日に全ヨーロッパに普及した。この書にある幕僚の機能は現代のそれと酷似している。この影響を受けつつドイツ伝統の幕僚組織を完成させたのはH.モルトケ(1800-91)であった。彼はG.J.D.vonシャルンホルストの業績を受け継ぎ,鉄道の発展を予見した組織を整備し,有能な幕僚を養成して有名なドイツ参謀本部を創設した。ドイツ参謀本部の特色の一つは,最高指揮官に完全に中央における戦争指導を可能にさせたことである。

 現代の各国軍隊の幕僚組織・機能は,多くドイツ参謀本部の流れをくむものであり,第1次,第2次世界大戦における経験,兵器・通信の発達による軍隊構成の変化,戦術の発達などにより軍隊内の比重を高めながら,組織の膨張,機能の分化の傾向を大きくしつつある。

 日本においては旧陸軍はドイツに,旧海軍はフランス,イギリスに範をとった幕僚組織をもっており,明治時代に大きな力を発揮したが,軍隊の膨張につれて陸軍では参謀の地位が過度に高まり,参謀統帥の弊すら生じた(軍令部参謀本部)。自衛隊においてはアメリカ式の幕僚組織をもち,機能的に人事,情報,作戦,兵站(へいたん)の一般幕僚と技術,管理などの特別(専門)幕僚によって構成されている。
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普及版 字通 「幕僚」の読み・字形・画数・意味

【幕僚】ばくりよう(れう)

参謀。〔遼史、張倹伝〕車駕經行す。長當(まさ)に獻ずるるべし。~中に獵す。みて曰く、臣のに他の無し。惟だ僚張儉は一代の寳、願はくは以て獻と爲さんと。

字通「幕」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「幕僚」の意味・わかりやすい解説

幕僚
ばくりょう

参謀」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の幕僚の言及

【譜表】より

…西洋音楽の記譜法体系において,ふつう音高を表示するために水平に引かれた数本の平行線を指す。歴史的には線の意味や数に応じてさまざまな種類があるが,17世紀以降今日に至るまで,5線譜表が最も一般的に使用されている。 5線譜表(5線譜)は基本的には五つの線と四つの間(かん)からなり,隣接する二つの線(間)は3度音程を表す。音符や休符はこれらの線上または線間に記されるが,5線の音域を上下に3度以上越える場合は,臨時に短い加線(かせん)が加えられる。…

※「幕僚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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