冴え渡る(読み)サエワタル

デジタル大辞泉 「冴え渡る」の意味・読み・例文・類語

さえ‐わた・る【×冴え渡る】

[動ラ五(四)]
光や音などが一面に澄みきる。隅々まで澄みとおる。「―・る青空もと」「―・る笛の音」
頭の働きやからだの調子などがひときわはっきりする。
「彼らの頭は夜が来ると一様に―・った」〈横光碑文
腕まえや手際などがひときわ鮮やかである。「―・った包丁さばき」
一面に冷えきる。
「立ち待つにわが衣手に置く霜もに―・り降る雪も凍り渡りぬ」〈・三二八一〉
[類語]冴える澄む澄みきる冴え返る澄み渡る透き通る澄ます清澄透徹

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「冴え渡る」の意味・読み・例文・類語

さえ‐わた・る【冴渡】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 一面に凍る。あたり一面に冷える。
    1. [初出の実例]「立ち待つに 吾が衣手に 置く霜も 氷(ひ)に左叡渡(サエわたり) 降る雪も 凍り渡りぬ〈作者未詳〉」(出典万葉集(8C後)一三・三二八一)
  3. 光、音、色などが一面に澄み切る。くまなく澄む。
    1. [初出の実例]「さえわたる池のかがみのさやけきに見なれし影を見ぬぞ悲しき」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
  4. 目、頭などの働きが、あざやかではっきりとする。
    1. [初出の実例]「彼らの頭は夜が来ると一様に冴え渡った」(出典:碑文(1923)〈横光利一〉)
  5. 技術、腕前などが非常にあざやかである。
    1. [初出の実例]「必ず仕事は上首尾なほど、彼は冴え渡るのであった」(出典:二十歳(1933)〈川端康成〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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