冴え返る(読み)サエカエル

デジタル大辞泉 「冴え返る」の意味・読み・例文・類語

さえ‐かえ・る〔‐かへる〕【×冴え返る】

[動ラ五(四)]
光や音などが非常にくっきりとあざやかである。「月の―・る夜」
春になっていったん緩んだ寒さがまたぶり返す。 春》一本薄紅梅に―・る/虚子
「きのうから寒くなった。…―・るなどという時節でもないに」〈漱石・琴のそら音〉
頭の働きが、非常によくなる。「酔いがさめて頭が―・る」
いったん衰えたものが、また盛んになる。
「どうかした工合で、その話が―・り」〈万太郎・続末枯
[類語](1冴える冴え渡る澄む澄みきる澄み渡る透き通る澄ます清澄透徹/(2寒い肌寒い薄ら寒い寒寒深深凜凜冷え込むうそ寒い寒さ寒気寒波厳寒酷寒極寒余寒春寒はるさむ春寒しゅんかん寒の戻り夜寒寒冷冷える底冷え花冷え梅雨寒梅雨冷え

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精選版 日本国語大辞典 「冴え返る」の意味・読み・例文・類語

さえ‐かえ・る‥かへる【冴返・冱返】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. (光や映像・音などが)非常によく澄む。くっきりとあざやかに見える。澄みきる。
    1. [初出の実例]「寒月雪に映ずる如く、さへかへりてあるに」(出典:中華若木詩抄(1520頃)中)
  3. ひどく冷える。寒さが身にしみるほどにきびしい。
    1. [初出の実例]「しぐれつる宵のむら雲さへかへり更け行く風にあられ降るなり」(出典:壬二集(1237‐45))
    2. 「この比さえかへりたる空のしき、けさはのとかになりて」(出典:御湯殿上日記‐大永七年(1527)二月三日)
  4. 春になって暖かくなりかけたと思う間もなく、また寒さがぶり返す。余寒がきびしい。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「さえかへり山風あるる常磐木に降りもたまらぬ春の沫雪〈藤原為家〉」(出典:玉葉和歌集(1312)春上・二九)
    2. 「猶寒(さえ)かへる春の日の」(出典:車屋本謡曲・竹生島(1570頃))
  5. いったん収まっていた勢いが、もとにもどる。ぶりかえす。再返(さいかえ)る。
    1. [初出の実例]「此暮より又わづらふ事さえかへりて」(出典:宗祇終焉記(1501‐02))
    2. 「又さへかへって、にぎやかになり」(出典:洒落本・仕懸文庫(1791)二)
  6. (頭の働きや音色などが)非常にさえる。はっきりする。
    1. [初出の実例]「八つにもならぬ鳴きの声さへ返る春の夜や」(出典:浄瑠璃菅原伝授手習鑑(1746)二)
  7. 沈滞していた市場活気を帯びて、相場が上がりそうな気配を示す。

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