出石寺(読み)しゆつせきじ

日本歴史地名大系 「出石寺」の解説

出石寺
しゆつせきじ

[現在地名]長浜町豊茂

喜多郡と八幡浜やわたはま市との境、標高八一二メートルの出石いずし山頂上にある。金山と号し、真言宗御室派別格本山。本尊は千手観世音。

寺の由緒を記した慶長四年(一五九九)の「日本高麗戦記」(五代住職快慶著)によると、養老二年(七一八)一猟師が山中から湧出した千手観音石像を祀ったのが寺の始めで、大同二年(八〇七)空海が護摩を修し、当時の山号雲峰山を金山に改めたと伝えられている。「続日本後紀」によれば、空海が四国で修行したのは阿波国の大滝之岳と土佐国の室戸岬であるが、「聾瞽指帰」には「或登金巌而或跨石峰」とあって金巌に加禰乃太気、石峰に伊志都知能太気と訓じてあるので、金巌は金山出石寺をさすものと解され、空海は金山出石寺と石鎚いしづち山に登ったとされている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「出石寺」の意味・わかりやすい解説

出石寺
しゅっせきじ

愛媛県大洲(おおず)市長浜町にある真言(しんごん)宗御室(おむろ)派の寺。通称「おいずしさん」ともいう。山号は金山。本尊は千手観世音菩薩(せんじゅかんぜおんぼさつ)。718年(養老2)猟師作右衛門が鹿(しか)に導かれて山に入り、千手観世音菩薩が地面から湧出(ゆうしゅつ)するのを拝して仏道に帰依(きえ)し、名を道教と改めて開創。当時は雲峯山(うんぽうさん)と称したが、807年(大同2)空海がここで修行し、現山号に改めた。以後歴代の領主の外護(げご)を受けて栄えた。四国別格二十霊場第7番札所境内は県指定名勝で、寺宝には藤堂高虎(とうどうたかとら)が朝鮮出兵の際に持ち帰り奉納したという朝鮮鐘(国重要文化財)、釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)(県重要文化財)などがある。

[祖父江章子]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の出石寺の言及

【長浜[町]】より

…町域南端,八幡浜市との境の出石(いずし)山(金山。812m)は瀬戸内海国立公園に含まれ,その頂上に出石(しゆつせき)寺がある。藤堂高虎が朝鮮から持ち帰り寄進した銅鐘(重要文化財)を蔵する。…

※「出石寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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