高知県の南東端、太平洋に突出した岬で、古くは室戸崎・室生門崎・室戸ヶ崎などと記す。古代
とある。「今昔物語集」巻一一(弘法大師渡唐伝真言教帰来語)には「土佐ノ国ノ室生門崎ニシテ、求聞持ノ行ヲ観念スルニ、明星、口ニ入ル」とあり、「嚢鈔」は、この口中に飛入った明星を海に向かって吐出し、「其光水底ニ沈テ今ニアル」と記している。唐から帰国の後、嵯峨天皇の勅願により岬の山上に
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高知県南東端,太平洋に突出した岬。〈むろとみさき〉ともいう。西の足摺岬と相対して土佐湾を抱く。湾の東西両端は隆起傾向を示し,1946年の南海地震の際には岬先端で最大1.3m近く隆起があり,室戸岬やその西側の行当岬(ぎようどざき)には比高約100mの海岸段丘が発達する。乱礁の多い岬沖合は古来航海の難所で,また岬から南方に室戸海脚と呼ばれる大陸棚が延び,南東に位置する土佐礁とともに好漁場をなす。斑レイ岩や泥岩が海食を受けて豪壮な岩石景観をなしている。空海修行の地で,その著《三教指帰(さんごうしいき)》に〈土州室戸崎〉と記されている。唐より帰国ののち,岬の山上に807年(大同2)建立したと伝えるのが最御崎(ほつみさき)寺(四国八十八ヵ所24番札所)で,行当岬近くにある金剛頂寺(26番札所)を西寺(にしでら)とよぶのに対し東寺とよばれる。海食洞の御蔵(みくら)洞,一夜建立の岩屋など,付近には空海にかかわる伝承を伝えるものが多い。海岸から段丘斜面にかけてアコウ,ウバメガシ,アオギリなどが群落をなし,室戸岬亜熱帯性樹林および海岸植物群落として,国の天然記念物に指定されている。台風の通路に位置するが,岬の突端には室戸岬灯台,室戸岬測候所があり,測候所のレーダーは半径300kmをカバーする。岬全体が国の名勝に指定され,室戸阿南海岸国定公園の中核をなす。岬をめぐって海沿いを国道55号線が通り,岬の尾根伝いに室戸スカイライン(1981年無料開放)が走る。
執筆者:正木 久仁
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「むろとみさき」ともいう。高知県室戸市南端、太平洋に突出する岬。国指定名勝。四国南東端にあたり、紀伊水道と土佐湾を分け、西の足摺(あしずり)岬と相対して土佐湾を抱く。斑糲(はんれい)岩などが海食を受け、海岸段丘や岩礁を発達させた隆起岩石海岸。台風の通過地として知られ、全国屈指の強風地でもあり、アコウ、アオギリ、ウバメガシ、トベラなどの亜熱帯・暖帯の植物群生(国指定天然記念物)が強風により特有な樹形をみせ、豪壮な波濤(はとう)景と組み合わされて特色ある景観を呈している。岬背後の海岸段丘面には四国八十八か所第24番札所最御崎(ほつみさき)寺、測候所、灯台があり、室戸スカイライン(県道203号室戸公園線)が通じる。国道55号が海岸沿いを走るほか、遊歩道が通じ、それに沿って空海ゆかりの観音窟(かんのんくつ)、行水の池や、中岡慎太郎像などがある。一帯は室戸阿南海岸国定公園域で、近世以降築港された漁港が多く、防風石垣や生け垣を巡らした民家もみられる。岬沖の土佐碆(ばえ)、白草(しらくさ)碆は好漁礁として知られる。
[大脇保彦]
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