分子篩(読み)ブンシフルイ

デジタル大辞泉 「分子篩」の意味・読み・例文・類語

ぶんし‐ふるい〔‐ふるひ〕【分子×篩】

粒子表面に均一な細孔をもち、その大きさ以下分子のみを吸着するので、各種の分子をふるい分け作用を示す物質。合成ゼオライトなど。乾燥剤脱水剤利用モレキュラーシーブ

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改訂新版 世界大百科事典 「分子篩」の意味・わかりやすい解説

分子篩 (ぶんしふるい)

分子がその大きさによって吸着媒に捕捉されたりされなかったりする効果を利用して混合物を分離すること。吸着媒の有効孔径の大きさに応じて,大きい分子と小さい分子とがふるい分けられる。顕著な分子ふるい効果を示すものとしてモレキュラーシーブmolecular sieveが有名である。これは合成沸石であり,xNa2O・yAl2O3zSiO2vH2Oの一般組成をもつもので,均一の孔径をもっており孔径の異なった多種類のものが市販されている。孔径4Å形のモレキュラーシーブでは,その細孔の中にエタンを取り込んで吸着するが,プロパンは分子がエタンより大きいため吸着されない。このように,化学的性質のきわめて似かよった,他の方法で分離困難な分子を分子サイズに応じて分離することが可能であり,実験室はもとより化学工業界においても石油精製などに利用されている。有機化合物のみならず,二酸化炭素,硫化水素などのガスの吸収剤としても用いられる。
沸石
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の分子篩の言及

【クラスレート化合物】より

…たとえばH2OとC2H5OHのような共沸混合物,沸点の近いヘプタンとイソオクタンなどでも簡単に分離できる。このような分離作用を分子ふるい(モレキュラーシーブ)といっている。これまでに人工鉱物で各種の分子ふるいがつくられている。…

【沸石】より

…CECは,沸石の種類,陽イオンの種類,イオン交換が行われる溶液のpH,温度によって異なる。
[分子ふるい]
 また,空洞中の水分は比較的低温(500℃以下)の加熱および減圧により放出される。その脱水体を室温において水蒸気の多い状態に保つと,再び吸湿してもとに復する性質がある。…

※「分子篩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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