一つの仕事を複数に分割し、同時並行して処理すること。このような処理を1台のコンピュータで行う場合は並列処理とよばれるが、ネットワークに接続された複数台のコンピュータで行われる場合に分散処理とよばれることが多い。完全に分散して処理を完了させるわけではなく、仕事の分割と結果の統合をかならず含むため、分散・統合処理とよぶほうが正確であろう。近年、パソコンを中心としてハードウェアの低価格化が進み、またそれらを接続する通信網の高速化が進んだため、数百台以上のパソコンを使用して一つの仕事を行わせるケースも多い。たとえば暗号の解読を行った例がある。しかし、このように定められた仕事を複数のコンピュータで同時並行して処理する場合だけでなく、一般に、オフィス業務などで、センターのコンピュータによって集中的に処理を行わせるのではなく、ネットワークを組んだパソコン群によって行わせるようなシステムもやはり分散処理を行っているという。この場合、複数のコンピュータが資源(ファイルやプリンターなどの機能)を容易に共有できるシステムになる。これにより組織内で情報と資源の共有を迅速に障害なくできるという大きなメリットが生じ、現代のオフィスオートメーション(OA)の基本をなすものとなっている。複数のコンピュータにデータベースを分散して置き、分散処理を行うものは分散データベースとよんでいる。
[田村浩一郎]
『白鳥則郎・滝沢誠著『分散処理』(1996・丸善)』
コンピューターによる情報処理において,多数の小型コンピューターを配置し,これをネットワークを通して接続することによって,一体としての処理を行うようにする方式のこと。企業では部門ごとのコンピューターでその部門の情報を扱い,これらの情報を他部門からも利用できるようにすることが全社の情報を1ヵ所で集中するより経済的になることが多い。利用者が持つパーソナルコンピューターでは,ヒューマンインタフェースにかかわる処理を主として行い,これが多数の共用データベースからの情報にアクセスして処理を進める方式がクライアントサーバーシステムとして一般化している。その実現のためには各サーバーが共用できる形でデータを持ち,クライアントが各サーバーのデータを集めて必要なアプリケーション処理とヒューマンインタフェースを実現する。
執筆者:斉藤 忠夫
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…主なものに,時間効率を測るための時間計算量,メモリー効率を測るための領域計算量などがある。他にも,計算回路の性能を議論するための計算量や,分散処理でのプロセス間の通信効率を測るための計算量など,用途に応じてさまざまな計算量が用いられている。 コンピューターで仕事を処理したり問題を解く場合,計算手順(アルゴリズム)の善し悪しで,プログラムの計算時間や使用する記憶容量が大幅に異なってくることが多い。…
※「分散処理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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