切杭(読み)きりくい

精選版 日本国語大辞典 「切杭」の意味・読み・例文・類語

きり‐くい‥くひ【切杭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 木の切り株。
    1. [初出の実例]「かの木を伐られにけり。その根のありければ、『きりくひの僧正』と言ひけり」(出典:徒然草(1331頃)四五)
  3. ( 木の杭から芽の生え出るのにたとえていう ) 平安時代以降、正月女叙位の時、女官が自分の年労に母の功労年数を合わせて、叙爵を申請したこと。〔江家次第(1111頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「切杭」の解説

切杭
きりくい

中世よりみえる彼杵そのき戸町とまち浦内の地名。文永年間(一二六四―七五)と思われる年欠八月一一日の石塚寂然請文(深堀文書、以下同文書)に「肥御崎寺領内切杭高浜」とみえ、寂然は数十年(十数年か)前に切杭・高浜たかはまの両所に蓮上(深堀行光)が乱入して寺用米一〇〇石ならびに数十余町の田畠作毛や船所出物を押取り、あるいは百姓・所従を召し籠め沽却したとたびたび訴えており、両所が彼杵庄戸町浦と伊佐早肥御崎いさはやひのみさき寺とのいずれに属するかという相論となった。弘安五年(一二八二)九月日の入道二品親王庁下文に「戸八浦内切杭高浜」とあり、両所を峯致道が本所一円所領と主張して本家の京都仁和寺より宛行われたが、深堀時仲が本司戸町俊長らや深堀行光以来の知行を訴えて認められ、この日改めて仁和寺より時仲に両所が宛行われている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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