列車運行図表,または単にダイヤともいう。時間と距離を縦軸と横軸にとった図表の上に列車の運行状況を図示したもので,いわば列車が運転される軌跡(列車線)を示したものである。イギリスで考案されたといわれ,日本では1897年ころから広く利用されるようになった。列車ダイヤには時間を横軸に距離を縦軸にとったものとその逆のものがあるが,JRをはじめ日本では前者が採用されており,後者は明治中ごろまでの列車ダイヤ創成期と一部外国にその例を見るにすぎない。列車の速度は厳密に見れば停車,発車,こう配などにより変化するため,それをそのまま図示すればジグザグとなり,不便なので,実際には駅間の間隔を距離に比例させず,主要列車の運転時分に比例させ,列車線が極力,直線になるように調整している。また,北を上にして停車場線を記入するため,同じ下り列車でも,例えば東海道線では右下がり,東北線は右上がりとなっている。
列車ダイヤは列車の運転スケジュールであり,列車を運転し,その管理を行うために必要不可欠のものであるが,また,乗務員,駅員などの要員計画,線路増設,駅の着発線増設などの設備計画,機関車,電車などの車両計画,さらに線路,架線の保守作業計画など,鉄道運営上重要な諸計画を策定するための基礎となる。したがって,ダイヤ改正作業にあたってはこれらの諸条件を慎重に配慮しながら,作業が進められる。
列車ダイヤの左欄外には駅名,標準こう配,キロ程が,また右欄外には駅名(電報略号),信号方式,各駅の待避線と有効長などが表示されている。時間の刻みは用途により,1時間目,10分目,2分目,1分目の各種類がある。1時間目ダイヤは全体の列車運転状況がよく把握できるため,長期列車計画,毎日の列車運転管理などに使用されており,2分目ダイヤは15秒単位で列車の運転時刻を正確に表示できるため,実際の作業計画策定などに広く使用されている。なお,山手線,京浜東北線などの区間ではダイヤも稠密(ちゆうみつ)なため1分目ダイヤを使用している。列車線は列車の種類,運転期間,駅の着発時間などにより図のような記号を用い,判別を容易にしている。また,列車線の上には列車番号を表示して列車ごとの区別を行っている。JRでは4桁の列車番号を使用し,下り列車は奇数,上り列車は偶数,下2桁の1~49は旅客列車と荷物列車,50~99は貨物列車としている。また100位で線区あるいは系統を区別し,1000位の1000~5000は定期列車,6000~7000は季節列車,8000~9000は臨時列車にわり当て,さらに電車列車は数字の末尾にM,気動車列車はDをつける。なお,新幹線では番号の末尾に東海道・山陽新幹線がA,東北新幹線はB,上越新幹線はCをつける。
列車ダイヤ作成にあたっては,客貨の輸送需要,輸送量の変動,設備条件,車両運用,乗務員運用などを綿密に検討して行うが,ダイヤそのものは基準運転時分と余裕時分と停車時分を合計した到達時分を計算して作図される。基準運転時分は単線,複線,曲線,こう配などの線路条件と機関車,電車などの車種,編成から決定される性能いっぱいの運転時分である。余裕時分は事故,工事徐行,接続待ちなどで生ずる列車の遅延を吸収し,列車を定時運転させるためのもので,ふつう到達時分全体の数%程度を確保している。列車ダイヤの作成は,(1)1時間目ダイヤへの特急旅客列車,高速・直行貨物列車などの記入および主要駅の発着時間帯,接続,車両運用などの検討,(2)普通旅客列車,一般貨物列車の記入および検討,(3)同様な手法による2分目ダイヤの作成の順で行われる。発着時刻に制約の多い特急列車,コンテナー列車,鮮魚列車などについては限られた線路容量のなかで調整に困難を伴うことも多く,また,大都市周辺の列車稠密区間では線路容量を極力増やすため,全列車の速度を同一にした平行ダイヤ,高速列車の速度を低くし,低速列車との速度差を小さくする規格ダイヤを採用している。
執筆者:山崎 正夫
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