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力石(読み)ちからいし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

力石
ちからいし

力だめし,力比べをする。一般に卵形自然石で,日本全国に分布する。持上げた記念として姓名や重量などをその石に刻んで神社に奉納するならわしがあった。また,源為朝加藤清正などが持上げた石というような英雄伝説を伴うものも多い。しかし本来は神意を伺うためのものであったと思われる。病人が出たときなど,石が持上がれば全快,持上がらなければ快癒 (かいゆ) の見込みがないというように,石占 (いしうら) に使われている例は多い。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

力石

四日市大学の高島慎助特任教授によると、農村や漁村などで力仕事をする労働者の鍛錬と遊びを兼ねて、江戸後期~明治半ばごろ、盛んに行われていたとされる。石は、楕円(だえん)形で凹凸が少ないものが多く、名前や年代が刻まれることがある。頭上に石を差し上げることができる小ぶりな石は「さし石」と呼ばれる。石を肩に担ぐ地域もある。

(2016-04-04 朝日新聞 朝刊 ちば首都圏・1地方)

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百科事典マイペディアの解説

力石【ちからいし】

力試しや力比べとして石を持ちあげる競技,ならびにその用具として使う石そのものの両方に対する名称。磐持石,重軽(おもかる)石,サシイシなどとも呼ばれる。 かつては日本の各地で行われており,使用された石が今なお各地の神社仏閣や集会所などに残されている。石の多くは丸か楕円(だえん)の形をしており,重さは60kgくらいから200kgを超すものまで様々なものがある。このような石を両手で頭上にさしあげたり,肩にかついだり,抱きかかえて歩いたり,あおむけに寝て両足で支えたりして競技が行われたといわれている。また,力石の中には,重さ,石の銘,持ちあげた人の名,年月日などの記録を刻んだ〈切付(きりつけ)〉という印字のあるものもある。 日本における力石の起源は中世までさかのぼり,民間信仰にもとづく石占(いしうら)から派生したものと,大力豪傑の伝説にちなむものの2系統があるといわれているが,その先後関係や絶対年代については定かではない。江戸時代に入ると,力石は腕力を必要とする職業の人たちの間で力比べの競技として盛んになっていった。そして,1700年代ころからは,ある程度様式化した力持ち競技として,江戸から全国へと伝播(でんぱ)していったといわれている。これら力石の中で,年代が切付として残されている最も古いものは,東京都江東区の志演(しのぶ)神社境内にある力石であり,それには1664年(寛文4年)という年号が刻まれている。その後,明治から昭和初期にかけて各地で行われていたが,現在ではほとんど行われなくなっている。 力試しや力比べとして大きな石を持ちあげる力石は,日本以外にも世界の各地において行われている。その中でも,スペインとフランスの国境付近に住むバスク民族の石かつぎは,重いものになると200kgを超えるような石を何回もかつぎあげて力比べをすることで有名である。

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世界大百科事典 第2版の解説

ちからいし【力石】

若者たちの力試し,力競べ用の石,およびその行為に対する呼称。番持石,重軽(おもかる)石,バンブチ,ハカリ石,沖縄ではサシ石などという。石の形は丸型か楕円型で,重さは60~70kgから200kg近く,持ち上げた人の名や重量を刻んだものもある。日頃は神社の境内,村境,集会所のそばなどに置かれている。持上げ方には,両手で頭上に差し挙げる,片手で挙げる,肩に乗せる,などがあった。少年の頃から練習をし,持ち上げることが一人前の資格として評定されることも多かった。

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大辞林 第三版の解説

ちからいし【力石】

力くらべに持ち上げる石。神社や村の辻に置いたりした。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

力石
ちからいし

力試し、力競べをするために使われた石。昔の農村の青年は米を担ぐなど力仕事をすることが多く、力試しをよくした。神社の境内などにある大きな石を持ち上げて力を競った。一人前の青年の資格として米俵を担いで一定の距離を歩かせることも行われた。岡山県真庭(まにわ)郡八束(やつか)村(現真庭市)に、大小の力石があり、青年が力競べをした。それには4種類の石があって、頭上まで上げるのをサシ石、肩までのものをカタゲ石、膝(ひざ)まで上げるのをヒザトリ石、いちばん重いのをチギリ石といって地面から離せばよいとしたという。力石には、重軽(おもかる)石といってこれで石占(いしうら)をするのが信州(長野県)など各地にある。病気のときなどこの石を持ち上げて軽ければすぐ全快し、重ければなかなか治らないと判ずるのである。力石には伝説として語られているものがある。兵庫県飾磨(しかま)郡荒川村(現姫路市)には、弁慶が書写(しょしゃ)山にいたころ、力を試したという石がある。[大藤時彦]

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