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包括契約

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

包括契約
ほうかつけいやく

本来なら複数となる契約を、一つにまとめて一括契約すること。物やサービスの売買、保険、金融、特許や著作権などの知的財産権の利用など、商取引の世界で幅広く用いられている。なお、包括契約の反対概念は個別契約である。
 包括契約では個々に契約を結ぶ必要がないため、契約者と被契約者双方の負担や手間を軽くし、契約漏れを防ぐ目的で結ばれることが多い。一般に、包括契約による価格、料金は個々に契約を結ぶ場合よりも割安である。一方で、包括契約には、本来必要のない物、サービス、保険などが契約者に提供される場合もあるというデメリットがあるほか、不当廉売や他の事業者との契約を排除する私的独占を招くおそれもある。
 物やサービスの売買では、長期にわたって提供、供給する際に、包括契約が締結されることが多い。売主と買主が収益、生産能力、物やサービスの種類、数量、金額、納期などをそれぞれ予測しながら契約を交わし、故障の修理や部品補充などの追加的サービスが付随することもある。
 保険分野では、複数の契約者に対し、まとめて一つの保険金額を定める契約をさす。海外に出張、派遣、駐在する複数の従業員のリスクを一括して補償する契約や、多くの契約者を集めて保険料を割安にする海外旅行傷害保険、工場内の原材料や製品をまとめて補償する損害保険契約などが該当する。貿易保険では、複数の国や取引先と数多くの契約を結ぶ民間企業に対し、1年間の取引すべてに保険をつける仕組みを包括保険とよんでいる。
 金融分野では、消費者金融やクレジットカード会社等から借入れをする際に、最初に借入れ限度額、金利、返済方法を決め、その後継続的に借入れ限度額の範囲内で返済と借入れが行える契約を包括契約とよぶ。
 知的財産権分野では、複数の特許や著作権の利用をまとめて許諾することをさす。京都大学がもつ複数のiPS細胞に関する特許を製薬会社が使えるようにする契約などが該当する。なお、日本音楽著作権協会(JASRAC(ジャスラック))はテレビやラジオで流れる楽曲の使用料について、流れた回数や時間にかかわらず、各局の放送事業収入の一定割合(1.5%)を徴収する包括契約を結んできた。これに対し競合事業者が、新規事業者の参入妨害で独占禁止法違反にあたると提訴し、東京高等裁判所や最高裁判所はJASRACの参入妨害を認めた。このためJASRACは包括契約方式をやめ、2015年度(平成27)にさかのぼって、楽曲の使用割合(回数や時間)に応じて、放送事業者から使用料を徴収し、著作権者へ支払う方式に改めた。[矢野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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