日本の漁業政策によって、日本近海から北洋海域の漁場へ操業区域を転換した底引網漁船を総称していう。日本近海の底引網漁船による乱獲によって漁場が荒廃したため、近海の底生生物の資源量保持と漁獲努力量の分散を図るため、1960年(昭和35)日本政府は「北洋海域への中型機船底引網漁業転換要綱」を発表した。これに基づき、おもに東北および北海道沖合で操業中の中型機船底引網漁船を、北洋海域に操業海域を転換させたものである。操業海域は、北緯48度以北、東経153度以東、西経170度以西に囲まれた海域で、主要漁場は東・西カムチャツカ沿岸海域、とくにスケトウダラの抱卵期(12~4月)には、ほぼ全船がこの海域で操業する。その他の対象魚種としてカラスガレイ、アブラガレイのカレイ類(春~夏季)、ホッコクアカエビ、スジエビ(5~8月)、ドスイカ(7~9月)、アリューシャン列島沿いのメヌケ、マダラ(春~夏季)などがある。
漁場を転換した当初は、使用漁船は200トン未満が原則であったが、その後すぐに300トンに増トンされ、さらに乗組員の労働環境条件の改善のための措置として315トンに引き上げられ、加えて1965年に低気圧による海難事故が続発したために、1967年には350トンに増トンされた。北転船のほとんどが二層甲板で、漁船の外観は400~500トン級に相当する。これは総トン数に加えられない部分が広いためで、積載能力も公称より大きい。
北転船の操業水域は他の国の排他的経済水域内にあるため、国家間の取決めによって操業が行われている。
[添田秀男・吉原喜好]
第2次大戦後,北海道を中心として行われていた中型機船底引網漁業は,漁獲技術の向上に伴い,資源および操業上,沿岸漁業との摩擦が生じた。これに対し調整がなされ,他の漁業への転換が行われたが,それでも争いが絶えなかったので,1961年より70トン以上の底引漁船150隻を目標に,北緯48°以北,東経153°~170°間への漁場転換を行った。この経過によりこれらの船は北転船と呼ばれている。その後,船員設備の改善に伴う大型化および測度法の改正により,現在の北転船は大型トロールを縮小した280トン型で,全通2層甲板の船首魚倉,船尾機関室をもつ船尾式トロール型となった。2層甲板間は漁獲物処理場で,中央に急冷室をもつ。流氷海区での操業のため船体の外板は,増厚され補強されている。また,魚倉容積の増大と浮力の維持のため,船は肥大型であり,2000馬力を超える主機関をもつ。そのため船尾部の振動に対し補強がなされている。
執筆者:小池 孝知
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