十六観(読み)じゅうろっかん

精選版 日本国語大辞典 「十六観」の意味・読み・例文・類語

じゅうろっ‐かん ジフロククヮン【十六観】

〘名〙 仏語観無量寿経に説く、極楽往生を願う人の行なう一六の方法。すなわち、日想観水想観・地想観・宝樹観・宝池観・宝楼観・華座観・像観・真身観観音観・勢至観・普観・雑観・上輩観・中輩観・下輩観の一六の観法総称。十六想観。
往生要集(984‐985)大文九「『観経』以十六観往生因

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十六観」の意味・わかりやすい解説

十六観
じゅうろくかん

仏教用語。 16種の観法。『観無量寿経』に説かれており,阿弥陀仏の身や浄土ありさまを思い浮べる 16種の観法によって,その浄土に生れることができるという。 (1) 太陽が沈むのを見て極楽が西にあることを想うこと (日想観) ,(2) 水と氷の清らかさによって極楽の大地のありさまを想うこと (水想観) ,(3) 引続き極楽の大地をまざまざと想うこと (地想観) ,(4) 極楽の不思議な樹木の働きを想うこと (宝樹観) ,(5) 極楽の池の水を想うこと (宝池観) ,(6) 極楽にある多数の建物を想うこと (宝楼観) ,(7) 阿弥陀仏の台座である蓮華の花を想うこと (華座想観) ,(8) 仏像を見て阿弥陀仏の姿を想うこと (像想観) ,(9) 阿弥陀仏の真実の姿を想うこと (真身観) ,(10) 阿弥陀仏に従う菩薩のうち観世音を想うこと (観音観) ,(11) 大勢至菩薩を想うこと (勢至観) ,(12) あまねく浄土の仏,菩薩,国土を想うこと (普観想観) ,(13) 以上のような観法のできないものが,実際の阿弥陀仏を見て,それによって他のさまざまな姿を交えて想うこと (雑想観) ,(14) (15) (16) 衆生がそれぞれの能力や資質優劣 (上,中,下) に応じた修行をして極楽に生れるさまを想うこと (上輩観,中輩観,下輩観) 。

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