千枚漬(読み)せんまいづけ

精選版 日本国語大辞典 「千枚漬」の意味・読み・例文・類語

せんまい‐づけ【千枚漬】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 紫蘇(しそ)の葉を幾枚も重ねて、味噌漬け塩漬けにしたもの。千枚紫蘇。〔料理山海郷(1750)〕
  3. 聖護院蕪(しょうごいんかぶ)薄切り壬生菜(みぶな)昆布を取り合わせて塩で下漬けしたものにみりんなどを加えて漬ける漬け物京都名産。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「千枚漬(センマイヅケ)の樽を送って来たり」(出典:蔵の中(1918‐19)〈宇野浩二〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「千枚漬」の意味・わかりやすい解説

千枚漬 (せんまいづけ)

京都名産の漬物聖護院(しようごいん),近江などの大型のカブを薄く切って漬けるのでこの名がある。皮をむいたカブを2~3mmの厚さに横に輪切りにし,一晩薄塩で下漬したあと,コンブと交互に敷きかさね,酢,砂糖,みりんを加え,赤トウガラシを適宜散らして本漬にする。特有のぬめりとうまみがあり,洗わずにそのまま切って食べる。千枚漬は《料理山海郷》(1750)その他の江戸後期の料理書に名が見られるが,シソの葉を100枚も200枚もかさねて塩漬,あるいはみそ漬にしたもので,現在のカブの千枚漬がつくられるようになったのはかなり新しい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「千枚漬」の意味・わかりやすい解説

千枚漬け
せんまいづけ

カブの漬物の一つで、京都の名産品。薄く切ったカブを何枚も重ねて漬けるので、千枚漬けの名がある。原料のカブには、大きくて肉質の柔らかい聖護院(しょうごいん)カブが用いられる。カブは皮をむいて2.5~3ミリメートルくらいの厚さの輪切りにし、塩をして下漬けする。本漬けは、みりんや砂糖、酢をふりかけながらカブと昆布を交互に積み重ね、重石(おもし)をする。4~5日で漬けあがるので、ミブナの塩漬けを添えて包装する。昆布のぬめりと、軟らかな酸味と甘味のある漬物である。

[河野友美・大滝 緑]

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百科事典マイペディア 「千枚漬」の意味・わかりやすい解説

千枚漬【せんまいづけ】

京都名産の漬物。近江(おうみ)カブ,聖護院カブ等大型のカブを,横に薄切りとし,塩で4〜5日下漬する。これとコンブを交互に重ねて赤トウガラシ,みりん,米こうじ等を混ぜ本漬する。味が変わりやすく1〜2週間を漬けごろとする。11〜3月ころが旬(しゅん)。

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日本の郷土料理がわかる辞典 「千枚漬」の解説

せんまいづけ【千枚漬け】


京都名物の漬物で、当地でとれる聖護院(しょうごいん)かぶを薄く切り、塩で下漬けしたあと、昆布・とうがらしなどと漬け込んだもの。◇本来は塩だけで漬け、乳酸発酵によって酸味がつくが、普及品では酢などを用いることもある。

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世界大百科事典(旧版)内の千枚漬の言及

【漬物】より

…ニシンのこうじ漬やぬか漬とともに松前漬が有名で,松前漬はコンブ,するめ,かずのこなどをとり合わせて,みりんじょうゆで漬けたものである。函館地方の大沼カブを使った千枚漬などもある。(2)東北 秋田のいぶり沢庵,なた漬,山形の青菜(せいさい)漬,小ナスのからし漬,仙台の長ナス漬,岩手の金婚漬,福島の三五八(さごはち)漬などが知られる。…

※「千枚漬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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