千燈寺(読み)せんどうじ

日本歴史地名大系 「千燈寺」の解説

千燈寺
せんどうじ

[現在地名]国見町千燈

伊美いみの海岸部から南へ約四キロの地にある。山号は補陀落山、本尊阿弥陀如来。天台宗。当地は明治初年千燈寺境域にあった末寺西の坊が下山新築した場所で、明治三〇年(一八九七)には西の坊が千燈寺と合併して千燈寺事務所となった。その後同じく千燈寺の末寺下払しもばらい坊も合せ、事務所を千燈寺と称するようになり現在に至る。旧千燈寺は南東約二キロの不動山西側にあった。明治前期の境内図には護摩堂庫裏長屋講堂・山王堂等の建物がみられるが、現在は本堂跡の石垣や半肉彫の石造仁王像が残るのみである。本堂跡から五〇〇メートルほど登ると奥院と六所権現がある。旧千燈寺跡一帯は県の史跡に指定されている。養老二年(七一八)仁聞による開基との伝承をもつが、これは他の六郷山寺院と同様である。

長承四年(一一三五)三月二一日の僧行源解状案(余瀬文書)に「千燈石屋 住僧 五人」とみえる。安貞二年(一二二八)とされている六郷山諸勤行注進目録(長安寺文書)には「千燈山石屋」とあり、これに五石屋・岩殿石屋・枕石屋・銚子石屋・滝本石屋が続く。このうち五石屋と岩殿石屋はともに「深山」とあり、とくに五石屋については「秘所」と記している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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