補陀落山(読み)ふだらくせん

精選版 日本国語大辞典 「補陀落山」の意味・読み・例文・類語

ふだらく‐せん【補陀落山】

  1. ふだらく(補陀落)
    1. [初出の実例]「粤有同州補陀洛山」(出典:性霊集‐二(835頃)沙門勝道上補陀洛山碑)

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百科事典マイペディア 「補陀落山」の意味・わかりやすい解説

普陀落山【ふだらくせん】

観音浄土とされる山。サンスクリットのポータラカPotalakaの音写補陀落伽,普陀山とも記し,光明山,海鳥山と訳。チベットポタラ宮中国普陀山などは観音信仰に基づき命名されたもの。日本では熊野那智山がこれにあてられ,西国三十三所観音の第1番札所であり,観音浄土へ参ろうとする補陀落渡海の出発点ともなった。日光の二荒山(ふたらさん)も同じ起源
→関連項目浄土浄土信仰中禅寺湖ポタラ宮

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改訂新版 世界大百科事典 「補陀落山」の意味・わかりやすい解説

補陀落山 (ふだらくせん)

観音菩薩の浄土。サンスクリットのポータラカPotalakaの音訳。《華厳経》によると,インドの南端にあり,善財童子がそこに赴いて観音に拝謁した。《大唐西域記》には南インドの海岸,マラヤ山の東にあると記述されている。《陀羅尼集経》の注では,海島というとされ,海中の島のように印象づけられている。一種の霊地として描写され,仏教圏の各地にこれにちなむ地名が生じた。チベットでは観音の化身とされるダライ・ラマ宮殿がポタラ宮と名づけられた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「補陀落山」の意味・わかりやすい解説

補陀落山
ふだらくせん

サンスクリット語 Potalakaの音写で,南インドにあると伝説的に信じられている観世音菩薩霊場。中国では,この名を取った普陀山は,五台山,峨眉山とともに三大名山に数えられている。日本では,和歌山県の那智山が南方にあるため,西国三十三所観音第1番の札所とされている。

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世界大百科事典(旧版)内の補陀落山の言及

【男体山】より

…【平山 光衛】
[信仰]
 下野(しもつけ)の修験僧勝道上人(737‐817)は初めて男体山頂をきわめ,782年(延暦1)日光山を開いたと伝える。以来,日光山の主峰である男体山は補陀落(ふだらく)山,二荒山とも呼ばれ,神体山としてまた修験の霊場として崇敬された。近世には日光山内に東照宮が建立され,江戸幕府の精神的主柱としての役割も果たした。…

【志度寺】より

…香川県大川郡志度町にある真言宗善通寺派の寺。山号補陀落山(ふだらくさん)。東讃最古の名刹で,四国八十八ヵ所第86番札所である。…

【五台山】より

…中国山西省にある山脈の主峰五山を指す。《華厳経》の受持にともない,5世紀ころから文殊菩薩の住む清涼山にあたると信ぜられ,普賢菩薩の峨嵋山,観音の補陀落山とともに中国三大仏教聖地の一つとなった。浄土教の曇鸞(どんらん)がここに遊び聖跡に感じて出家した話は有名であるが,大塔院寺等いわゆる台中百ヶ寺の基礎が置かれたのも,このころである。…

※「補陀落山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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