南大隅(読み)みなみおおすみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「南大隅」の意味・わかりやすい解説

南大隅(町)
みなみおおすみ

鹿児島県、肝属郡(きもつきぐん)にある町。大隅半島南端、九州本土最南端に位置する。2005年(平成17)同郡根占町(ねじめちょう)、佐多町(さたちょう)が合併して成立。南東大隅海峡、西は鹿児島湾(錦江(きんこう)湾)に臨む。大隅半島の中央部から南東にかけて肝属山地が広がり、大隅海峡に一気に落ち込む。西側も阿多カルデラ(あたかるでら)の東壁にあたり、断崖が海岸にせまる。町域の約8割が山林で、北部の雄(お)川下流の沖積地など、西側にわずかに平地がある。その西海岸沿いに国道269号が通る。柑橘類ほかの果樹、スナップエンドウなどの野菜、水産加工品などが特産品で、畜産も盛ん。半島南端の佐多岬から雄川の河口にいたる海岸一帯は霧島錦江湾国立公園、南東の海岸は大隅南部県立自然公園に含まれる。高温多湿で亜熱帯性植物が自生。辺田(へた)地区二川(ふたがわ)のヘゴ北限自生地、肝付町・錦江町との境にそびえる稲尾岳(いなおだけ)の照葉樹林は、いずれも国の天然記念物に、佐多岬一帯のソテツ自生地は特別天然記念物に指定。薩摩藩の薬園跡である佐多旧薬園は国指定史跡。佐多岬最南端の大輪島(おおわじま)に建つ佐多岬灯台は、1866年(慶応2)に設置が決まった洋式灯台のひとつで、イギリス人技師ブラントンの設計により、1871年(明治4)に完成した。南大隅ウィンドファームの根占、佐多両発電所を合わせた発電容量は、風力発電所としては西日本屈指の2万4700キロワットを誇る(2018)。面積213.57平方キロメートル、人口6481(2020)。

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改訂新版 世界大百科事典 「南大隅」の意味・わかりやすい解説

南大隅[町] (みなみおおすみ)

鹿児島県南端,肝属(きもつき)郡の町。2005年3月佐多(さた)町と根占(ねじめ)町が合体して成立した。人口8815(2010)。

南大隅町南部の旧町。肝属郡所属。人口3796(2000)。大隅半島南端に位置する。北西から肝属山地が伸び,山がちで平地に乏しいため,集落はシラス台地上や小河川の河口部に立地する。古くは尾根づたいの山道が唯一の陸路で〈陸の孤島〉といわれたが,1958年国道269号線に接続する伊座敷~大泊間の県道が完成,さらに61年大泊から佐多岬に至る佐多岬ロードパーク(2007年無料開放)も開通して道路網も整備されてきた。基幹産業は農業で,米作を主体にキヌサヤやエンドウなどの栽培が行われる。沿岸漁村ではクロダイ,ブリなどの定置網漁のほか,トビウオ漁も行われる。64年霧島屋久国立公園に指定され,海中公園のある佐多岬,イスノキの原生林におおわれた稲尾岳(天)などがあって観光地として発展している。伊座敷には薩摩藩が薬草採取のために設けた佐多旧薬園(史)がある。

南大隅町北部の旧町。肝属郡所属。人口6945(2000)。鹿児島湾に面する大隅半島南西部に位置し,雄(お)川流域の沖積低地とその周辺を占める。中心集落は雄川河口の川北で,近くの根占港から対岸の薩摩半島山川港までフェリーが通じる。中世には禰寝(ねじめ)氏の領した禰寝院に含まれ,琉球貿易も行われた。近世に島津氏の直轄地となる。農業を主とし,沖積台地で稲作,台地上でサツマイモ,タバコおよびさやエンドウなどの露地栽培,畜産などが行われる。海岸線は霧島屋久国立公園に含まれる。
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百科事典マイペディア 「南大隅」の意味・わかりやすい解説

南大隅[町]【みなみおおすみ】

鹿児島県南部,大隅半島南端に位置する肝属郡の町。2005年3月肝属郡根占町,佐多町が合併し町制。国道269号線が通じる。213.57km2。8815人(2010)。

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