原爆の子(読み)ゲンバクノコ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「原爆の子」の意味・わかりやすい解説

原爆の子
げんばくのこ

さまざまな形で広島原爆を体験した子供たちの作文集。広島文理大学の学長であった教育学者の長田新(おさだあらた)の編集で、1951年(昭和26)に岩波書店より刊行。被爆時に4歳より中学生までの年齢にあった子供たちの見聞や体験を、その6年後につづらせた作文100余編を収める。純真な子供の筆であるだけに、つづられた内容は真率で、多くの読者を感動させ、平和への強い証言となっている。52年には、これを基にして新藤兼人(かねと)監督の手で映画化もされた。

上笙一郎

『長岡弘芳著『原爆文学史』(1973・風媒社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「原爆の子」の解説

原爆の子

①編:長田新による著作原爆投下を体験した子供たちの手記。1951年刊行。1952年、第6回毎日出版文化賞受賞。
②1952年公開の日本映画。①を原作とする。監督・脚本:新藤兼人、撮影伊藤武夫出演乙羽信子細川ちか子清水将夫、斎藤美和、下元勉、滝沢修、北林谷栄ほか。

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世界大百科事典(旧版)内の原爆の子の言及

【長田新】より

…カントの批判哲学,ペスタロッチ研究を基礎に自発性と知育重視の教育学を説く。《原爆の子》(1951)の編著,日本子どもを守る会会長(1952‐61)としての仕事には,教育による社会改造という理想主義的な社会思想がみられる。官房学ふうの教育学を排し,沢柳政太郎の私立成城小学校(成城学園)の創立に参加。…

【平和教育】より

…これをうけて日教組は51年〈教え子を再び戦場に送るな〉をスローガンとしてかかげ,教育研究運動を出発させた。また教育学者の長田新は作文集《原爆の子》(1951)を編み,平和への強い意志を抱く子どもの育成こそ,教師・父母にとって最高の課題であると訴え,国際的にも大きな反響を呼んだ。さらに国内では,父母などから戦争体験をきく運動が広がった。…

※「原爆の子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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