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原発性胆汁性肝硬変(PBC) げんぱつせいたんじゅうせいかんこうへんぴーびーしーPrimary Biliary Cirrhosis

家庭医学館の解説

げんぱつせいたんじゅうせいかんこうへんぴーびーしー【原発性胆汁性肝硬変(PBC) Primary Biliary Cirrhosis】

[どんな病気か]
 肝臓の中には胆管と呼ばれる管(くだ)がありますが、これは肝細胞から分泌(ぶんぴつ)される胆汁(たんじゅう)(コレステロール、胆汁酸、リン脂質ビリルビンと呼ばれる黄色の色素からなる)を腸に排泄(はいせつ)する機能をはたします。このうち、中くらいの大きさ(直径40~80μm(マイクロメートル)(1μmは、1mの100万分の1))の胆管に自己免疫異常が原因となって慢性の炎症がおこり、胆管が破壊されて胆汁の排泄が障害され、肝臓の中に胆汁がたまります。進行すると黄疸が現われ、肝細胞の障害もおこって線維(コラーゲン)が少しずつ増えて、終末には胆汁うっ滞性肝硬変になる病気です。いかめしい病気の名前のように、決して初めから肝硬変の状態にあるのではなく、大半は自己免疫性胆管炎として経過します。80~90%は、40歳以降の中年の女性にみられます。
 なお、この病気は、厚生省(現厚生労働省)の特定疾患(とくていしっかん)に指定されていて、医療費の自己負担分は、公費の補助が受けられます。
無症候性(むしょうこうせい)PBC
 原発性胆汁性肝硬変(PBC)のなかには、かゆみや肝疾患に由来する自覚症状や他覚所見を欠き、人間ドックなどの血液検査で偶然発見されるタイプがあります。これは「無症候性」と呼ばれ、症状があって進行する症候性PBCとは区別されます。
 一般に経過はよく、途中から「症候性」に変わる場合もありますが、大部分は進行しないといわれています。
[症状]
 黄疸(おうだん)が現われる前に皮膚のかゆみ(躯幹部(くかんぶ)や四肢(しし))が最初の症状になることが多くあります。全身のだるさや疲れやすさをうったえ、進行している場合には、黄疸や腹水の症状が現われます。そのほか、両方の上眼瞼(じょうがんけん)に黄色腫(おうしょくしゅ)と呼ばれる淡黄色の扁平(へんぺい)な隆起を認める場合があり、また食道静脈瘤(「食道静脈瘤」)の破裂による吐血(とけつ)が最初の症状になることもあります。
 合併症 シェーグレン症候群慢性甲状腺炎(こうじょうせんえん)、強皮症(きょうひしょう)、関節リウマチなど他の自己免疫疾患、胆石症や食道・胃静脈瘤などが合併することが多く、このような病気の経過中にPBCが診断されることもあります。黄疸が進行すると骨粗鬆症がおこりやすいことも注意が必要です。
[検査と診断]
 血液検査では、胆管系酵素である血清アルカリホスファターゼ(ALP)、γ‐GTP値の上昇にともない、血清総コレステロール免疫グロブリンのうちIgM値の上昇と血沈の亢進を認め、抗ミトコンドリア抗体または抗乳酸脱水素酵素(PDH)抗体(抗M2抗体)が90%以上陽性を示します。血清GOT(AST)、GPT(ALT)値は初期では上昇せず、100前後の上昇にとどまります。病気がある程度進行すると黄疸を現わす血清総ビリルビン値が上昇してきます。画像診断では、肝臓の外の大きな胆管に病変がないことを胆管造影法や超音波検査、CTで確かめることが重要です。肝生検では、中等大の胆管に特有な破壊像ないしは消失像が証明されます。
[治療]
 現在の治療法のなかでは、胆汁酸の1つであるウルソデオキシコール酸の内服がもっとも有効です。これまで行なわれてきた免疫抑制療法は治療効果を期待できません。
 ごく初期には、副腎皮質ステロイドが有効と考えられます。かゆみに対しては、陰イオン交換樹脂コレスチラミン)の内服が奏効します。末期では、肝移植(脳死肝移植または生体部分肝移植)以外に救命の手段はありません。

出典|小学館家庭医学館について | 情報