二つの船体を平行に並べて、上甲板の位置で結び付けた船。カタマラン船catamaranともいう。カタマランとは、台湾、インド、南太平洋諸島などで使われる筏(いかだ)の総称である。甲板の幅を広くとれるため、客船、カーフェリー、あるいは広い作業甲板を必要とする船に適している。また、横方向の安定性がよいので普通の船より客室などを高く積み重ねることができる。日本では、1960年(昭和35)に建造された箱根・芦(あし)ノ湖の遊覧船くらかけ丸(175総トン)が最初である。その3年後に建造された瀬戸内海航路の客船シーパレス(495総トン)は、世界で最初の海洋型双胴船であった。また、69年建造のカーフェリー六甲丸(2697総トン)は、世界最大級の双胴船であった。その後これら客船のほか、海上保安庁の設標船、消防船をはじめとして、油回収船、海洋調査船、海面清掃船など特殊用途の船にも双胴船が広く採用されている。73年にアメリカ海軍が半没水型双胴船カイマリノ号で優れた耐航性能を実証してから、半没水型双胴船が新型式の商船として注目されるようになった。79年、この型では世界で最初の実用客船、めいさ80(692総トン、27ノット)が伊豆大島航路に就航した。この船は双胴部分を水面下に沈めることにより、船体動揺および造波抵抗を大幅に減少させ高速を出せる船型をつくりだしたものである。さらに大型の船でもこの利点を発揮できるようになれば、画期的な新型式船となるであろう。
[森田知治]
2個の単胴船体をある間隔で左右に並べ,これらを水面上の甲板で連結して一体とした船。カタマラン船とも呼ばれるが,元来,カタマランとはマレー諸島などで見られる丸太などを並べてしばったいかだの総称である。
双胴船に用いられる単胴船体の形状は左右同一形が多いが,非対称形のものもある。また大部分の浮力を受けもつ魚雷形の没水体と水面上の甲板を細長い流線形の船体で結合した半没水型双胴船も造られている。双胴船では,エンジンは各船体内に配置され,後部にプロペラをもつ2軸船となる。船体が左右に広く離れているため安定性が高く,甲板面積が広く取れる利点があり,また,双胴間の波の干渉により,所要馬力を少なくできる特定の船速が存在する。しかし,船体重量が大きく積載量が少なくなる欠点があり,したがって,重量貨物の運搬には適さず,広い甲板を利用して,客船や遊覧船,カーフェリー,海洋調査船,消防船などに用いられている。
執筆者:国武 吉邦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…このカヌーは安定性に優れるが,方向転換などの操船や外洋での高い波に対して弱点があり,沿岸部や礁湖内の航行に限定される。4番目は,2そうの丸木舟を並べてつなぎ,甲板をつけた双胴船catamaran ship(カタマラン船)である。これは19世紀までポリネシアとメラネシアの一部で使用されていた。…
…このカヌーは安定性に優れるが,方向転換などの操船や外洋での高い波に対して弱点があり,沿岸部や礁湖内の航行に限定される。4番目は,2そうの丸木舟を並べてつなぎ,甲板をつけた双胴船catamaran ship(カタマラン船)である。これは19世紀までポリネシアとメラネシアの一部で使用されていた。…
…主として競走用である。(3)レーシング・マルティハルracing multihullマルティハル (多胴船型)は細長い船体を2個または3個,横に並べて強固に連結したもので,2本胴をカタマラン(双胴船),3本胴をトリマランという。競走用はカタマランがふつうである。…
※「双胴船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新