翻訳|reflex arc
生理学上の反射に際して神経信号の通る全経路をいう。その起始部は刺激を受ける感覚受容器であり,ここで刺激は神経のインパルス信号に変えられ,求心路を通って反射中枢へと送られる。その結果,反射中枢で形成された神経インパルス信号は遠心路を通って効果器(実行器)へと送られ,反応を起こす。効果器には筋肉のほか腺がある。反射弓の求心路は末梢神経,脊髄後根,あるいは脳神経を,遠心路は脊髄前根,末梢神経,あるいは脳神経を通る。反射中枢は脊髄,延髄,中脳のそれぞれ,あるいはこれらにわたって存在するが,大脳皮質を介するといわれる反射弓もある。最も簡単な構造をもつのは伸張反射弓で,求心路と遠心路のニューロンが脊髄内で直接シナプス結合をして形成する2ニューロン弓である。前庭動眼反射弓などは,シナプス結合を2ヵ所含む3ニューロン弓であるが,さらに多数のニューロンを含む多シナプス反射弓も少なくない。
執筆者:伊藤 正男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…反射を形成するためには,刺激を感受する受容器と,それに接続してインパルスを送る求心繊維,さらに脊髄または脳幹に存在する反射中枢でシナプスを介して遠心繊維(運動神経)に接続する効果器(筋肉)が必要である。これらの反射に関与する全経路を反射弓という。脊髄に反射中枢をもつ脊髄反射には伸張反射,屈曲反射,交叉(こうさ)性伸展反射などがあり,また脳幹に反射中枢をもつ反射には姿勢反射,呼吸反射,咀嚼(そしやく)反射などがある。…
…後根繊維は身体のいろいろの部分からの感覚を灰白質にある神経細胞に伝える。脊髄に伝えられた感覚は,前角9層の運動細胞によって反射を行う経路(反射弓)や上位の中枢に伝える経路(脊髄上行路)に接続する。
[反射回路]
脊髄の反射のおもなものとして,伸張反射と屈曲反射がある。…
※「反射弓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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