吹塵録(読み)スイジンロク

デジタル大辞泉 「吹塵録」の意味・読み・例文・類語

すいじんろく〔スイヂンロク〕【吹塵録】

江戸幕府財政関係の文書記録などを集録した史料集。勝海舟編。35冊。明治20年(1887)成立続編として「吹塵余録」10冊がある。

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精選版 日本国語大辞典 「吹塵録」の意味・読み・例文・類語

すいじんろくスイヂンロク【吹塵録】

  1. 江戸時代の財政経済に関する史料集。三五冊。大蔵省要請により、勝海舟自身で収集していた史料をもと編纂。明治二〇年(一八八七)成立。同二三年刊行。その後、続編に「吹塵余録」一〇冊がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「吹塵録」の意味・わかりやすい解説

吹塵録 (すいじんろく)

江戸時代の財政経済に関する史料集。35冊。勝海舟編。1890年刊。皇室,国郡,人口,軍役,貨幣,外国通商鉱山,徳川氏などの部に分けて,各種の古文書,記録,法令を収めている。なかでも幕府勘定方の帳簿類によって,人口,財政収支,貨幣鋳造高,金銀産出高,貿易輸入高など財政上の計数を明らかにした史料は貴重である。海舟が収集した史料草稿を大蔵大臣松方正義に見せたところ,大蔵省が費用を負担するので史料整理を続けるよう要請され,旧幕関係者の協力を得て編纂を進めた。完成後大蔵省に献呈され,同省より刊行された。その後続編として《吹塵余録》10巻も海舟によって編纂され,同時に刊行された。表題の《吹塵録》は,中国古代の黄帝が吹塵の夢によって賢相を得たという故事にちなんだもので,この書物が将来の政策に役だつであろうことを期待して名づけられたもの。《勝海舟全集》所収
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「吹塵録」の意味・わかりやすい解説

吹塵録
すいじんろく

勝海舟(かつかいしゅう)編の江戸時代の財政経済に関する史料集。35冊。1887年(明治20)大蔵大臣松方正義(まさよし)の懇請と大蔵省の費用負担により、海舟が維新前から収集していた史料をもとに旧幕関係者の協力と寄稿を求め、幕府の公文や法令、私記・談話・随筆などを集めて採用史料に考証を加え、忠実に編纂(へんさん)、同年大蔵省に献呈、1890年同省より刊行された。皇室、国郡、人口および国高、治水、米穀、軍役、貨幣、外国通商、鉱山、徳川氏、各地方など19部に分かれる。その後『吹塵余録』10冊も編纂、同時に刊行された。幕府勘定所(かんじょうしょ)史料が中心で、人口、財政収支、貨幣鋳造高、金銀産出高、貿易輸入高などの史料は貴重である。ともに『海舟全集』(3~4)に収める。

[大野瑞男]

『『吹塵録』上下、『吹塵余録』(『明治百年史叢書52~54』1968・原書房)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「吹塵録」の解説

吹塵録
すいじんろく

江戸時代の経済関係に関する記録・文書・法令など593点を収載した史料集。32冊。勝海舟編。1887年(明治20)成立。江戸幕府勘定方に伝来した帳簿など,ほかにみられない史料を多く含む。蔵相松方正義の懇請で大蔵省に献呈され,同省から刊行。表題は中国古代の黄帝が吹塵の夢をみてよき宰相を得たという故事にちなみ,後世の役にたつことを期待して名づけられた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吹塵録」の意味・わかりやすい解説

吹塵録
すいじんろく

江戸時代の経済史料を集録したもの。 1890年大蔵省から刊行された。松方正義の懇請により旧幕臣勝義邦 (海舟) が編集。財政関係の古老に聞き,江戸時代の帳簿や記録を渉猟して,財政,流通,産業など各分野の資料を類纂した貴重な文献。上下2冊に 35巻を収め,余録1冊に 10巻を収める。『海舟全集』所収。

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