善通寺市（読み）ゼンツウジシ

デジタル大辞泉

ぜんつうじ‐し【善通寺市】

⇒善通寺

出典　小学館

日本歴史地名大系

善通寺市
ぜんつうじし

面積：三九・六八平方キロ

県の中西部に位置し、北は仲多度（なかたど）郡多度津（たどつ）町、東は丸亀市および仲多度郡満濃（まんのう）町・琴平（ことひら）町、南は三豊（みとよ）郡高瀬（たかせ）町、西は同郡三野（みの）町と境を接する。南部に大麻（おおさ）山（六一六・三メートル）、南西部に我拝師（がはいし）山（四八一・二メートル）、西部に天霧（あまぎり）山（三六〇・四メートル）を負い、北部から東部にかけて平坦な地形が広がる。満濃池を水源とする金倉（かなくら）川は東部をほぼ北上し、丸亀市内を通過して瀬戸内海に注ぐ。小河川の弘田（ひろた）川は善通寺町有岡（ありおか）地区にある大（おお）池に源を発し、市域の西部を北西方向に縦貫して、多度津町を経て瀬戸内海に注ぎ込む。市内にはJR土讃本線の善通寺駅・金蔵寺（こんぞうじ）駅があるが、JR瀬戸大橋線の開業により岡山への所要時間が半減した。従来からの幹線道路である国道一一号はほぼ北端を横断し、加えて瀬戸中央自動車道とも接続することになる四国横断自動車道が建設中で、そのうち善通寺市と愛媛県宇摩（うま）郡土居（どい）町の伊予土居（いよどい）間が部分開通しており、当市と愛媛県との連絡はいっそう円滑になりつつある。金蔵寺町内のインターチェンジも完成をみた。また東部を土讃本線に寄添うようなかたちで国道三一九号が縦断している。市名は名刹善通寺にちなんでいるが、直接的には昭和二九年（一九五四）当市成立時中核となった旧善通寺町の町名を継承している。

〔原始・古代〕

比較的最近の調査で、永井（ながい）遺跡からは縄文土器片、堅果類を加工するための磨石などが出土して、縄文時代後・晩期の生活痕が確認されている。弥生時代前期の遺跡には、壺・甕のほか石包丁が出土して稲作農耕の開始を示唆する乾（いぬい）遺跡、前期から後期にかけての甕棺が出土した旧練兵場（きゆうれんぺいじよう）遺跡があげられる。同遺跡は弥生時代全体にわたるもので、西端に位置する彼の宗（かのむね）遺跡からは中期から古墳時代前期にかけての竪穴住居跡が発掘された。善通寺西（ぜんつうじにし）遺跡は弥生後期から古墳時代にかけての遺跡で、弘田川からの導水路が検出され、木製の櫂が出土した。

市内には四〇〇基にのぼる古墳があったともいわれ、県下でも分布密度の高い地域となっている。大麻山の標高四〇〇メートル地点に立地する野田院（のたのいん）古墳は古墳時代前期初頭の築造と推定される前方後円墳であるが前方部は土盛り、後円部は積石という構造で竪穴式石室を備えている。丸亀平野では最も古い時期に属する。磨臼山（すりうすやま）古墳は五世紀の築成と考えられており、刳抜式舟形石棺が出土した。後期の横穴式石室に宮が尾（みやがお）古墳がある。石室内部の側壁や奥壁には騎乗人物像や舟の線刻が施され、六世紀後半の築造と見積られている。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

善通寺〔市〕
ぜんつうじ

香川県西部，丸亀平野西部の金倉川，弘田川流域にある市。 1954年善通寺町と筆岡，吉原，竜川，与北の4村が合体して市制。 58年象郷村の一部を編入。南から北に傾斜はあるが，市域はほとんど平地。北部には，かつて軍都であった頃の練兵場跡地に四国農業試験場が，南部には，公共機関や学校，自衛隊駐屯地などがある。中心市街地は空海が父善通の菩提寺として創建した善通寺の門前町として発展。四国八十八ヵ所 75番札所として参詣者が多い。市内には 72番曼荼羅寺や 73番出釈迦寺，74番甲山寺，76番金倉寺などの札所が集中し，史跡の天霧城跡，有岡古墳群もある。また南部の大麻山，我拝師山など一帯は瀬戸内海国立公園に属する景勝地である。善通寺 (国宝2点を所蔵) や大麻山北麓の大麻神社など古社寺には重要文化財も多い。農村部では米作，野菜栽培が行われ，タマネギ冷蔵施設は有名。電気部品，繊維製品などの工場の進出もみられる。北方に国道 11号線と高松自動車道が通り，インターチェンジがある。中心部を JR土讃線と国道 319号線が縦断する。面積 39.93km²。人口 3万1631（2020）。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典