回向・廻向(読み)えこう

  • えこう ヱカウ

大辞林 第三版の解説

スル
自己が行なった修行や造塔・布施などの善行の結果を、自己や他者の成仏や利益りやくなどのために差し向けること。
死者の成仏を祈って供養を行うこと。 親戚一同で-する
浄土真宗で、阿弥陀仏の本願の力によって浄土に往生し、またこの世に戻って人々を救済すること。前者を往相廻向、後者を還相げんそう廻向という。
寺へ寄進すること。
回向文えこうもんを唱えること。また、その文。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 仏語。
① (「回」はめぐらす、「向」はさし向けること) 自分の行なった善根功徳をめぐらし、自分や他のもののさとりにさし向けること。このうち、積んだ善根功徳を、自己のさとりにさし向けることを菩提回向、他のものの利益にさし向けることを衆生回向といい、回向そのものにとらわれないで、そこに平等真実の理をさとることを実際回向という(三種回向)。また、特に浄土往生に資することを往相(おうそう)回向、再びこの世に帰ってきて、他を教え導き、浄土に向かわせることを還相(げんそう)回向という(二種回向)。
※南天竺波羅門僧正碑并序‐神護景雲四年(770)四月二一日「大法申斯紹隆、群生以之回向」
※源氏(1001‐14頃)若菜下「さりがたき御ゑかうのうちには」 〔往生論註‐下〕
② 他に向いていた心を浄土の教えに向けること。回心(えしん)。〔具三心義‐上〕
③ 浄土真宗で、阿彌陀如来がその仏徳の力を衆生にさし向けて衆生を極楽往生に迎えること。
※三帖和讚(1248‐60頃)高僧「願土にいたれば、すみやかに无上(むじゃう)涅槃(ねはん)を証してぞ、すなはち大悲を起こすなり。これを廻向と名づけたり」
④ 読経や念仏など、善根の功徳を死者に手向けること。死者の冥福を祈って読経をしたり、念仏を唱えたり、供えをしたりすること。供養。たむけ。
※百座法談(1110)六月一九日「また阿彌陀経三巻を三ところの聖霊の御ために廻向し申させたまふ」
⑤ 回向の偈文(げもん)を唱えること。また、その文。回向文(えこうもん)
※枕(10C終)二七九「たふときこと、九条の錫杖。念仏のゑかう」
⑥ 信心のために寺に物を寄付すること。布施。寄進。
※源平盛衰記(14C前)一「ある時は御劔御衣、ある時は沙金錦絹を、徳長寿院へ廻向(エカウ)し奉るべしとて下し賜ひけり」

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