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錫杖 しゃくじょう

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

錫杖
しゃくじょう

楽器名および声明 (しょうみょう) の曲名。 (1) 体鳴楽器。杖の頭部の金属製の輪に,数個の小環をつけ,振り鳴らすもの。「戒錫」ともいう。柄の短いもの,床に突き立てて鳴らす柄の長いものがある。

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デジタル大辞泉の解説

さく‐じょう〔‐ヂヤウ〕【××杖】

《「さく」は「しゃく」の直音表記》「しゃくじょう(錫杖)」に同じ。

しゃく‐じょう〔‐ヂヤウ〕【××杖】

僧侶修験者が持ち歩くつえ。頭部は塔婆形で数個の環がかけてあり、振ったり地面を強く突いたりして鳴らす。
四箇(しか)法要の一。1を楽器として用いる。また、そのときに唱える偈(げ)
祭文(さいもん)語りが歌に合わせて振り鳴らして調子をとるのに用いた具。1の柄を短くしたもの。

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世界大百科事典 第2版の解説

しゃくじょう【錫杖】

銅や鉄などで作られた杖で,仏具の一つ。頭部の輪形に遊環を6個または12個通し,これを揺すって音を出す。声杖,鳴杖ともいう。教義的には,その振動により煩悩を除去し智慧を得るとされるが,実際は托鉢の来意の告知,読経の調子取りや合図に使用する。この音には,山路で禽獣や毒蛇を避ける効があり,悪霊を攘却する呪力があるとも考えられていた。修験者は,手錫杖を好んで用い,これを打ち振って尸童(よりまし)を神がからせることもあった。

しゃくじょう【錫杖】

声明曲(しようみようきよく)の曲名,また分類名。法具の錫杖の徳を述べる内容で,数条から成り,各条ごとに始めの句を錫杖師が唱え,そのあとを全員で斉唱し,条末に錫杖を振り鳴らす。《三条錫杖》《九条錫杖》とあり,前者の第一・二条は後者と同文で,第三条は後者の第九条と同内容の異文であるが,曲節は前者のほうが複雑である。四箇法要(しかほうよう)には《三条錫杖》を用い,法要の末尾の法楽には《九条錫杖》を用いるなど,用途にも違いがある。

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大辞林 第三版の解説

さくじょう【錫杖】

しゃくじょう【錫杖】

〘仏〙
僧・修験者の持つ杖つえ。頭部についている環に、さらにいくつかの小環をつけたもの。僧が常に持っている一八の法具の一つで、身を守ったり、自分の存在を知らせたり、経を読むときに調子をとったりするのに用いる。
声明しようみようや祭文さいもん読みなどの際に打ち鳴らす、を短くした形の道具。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

錫杖
しゃくじょう

修行者が行脚(あんぎゃ)にあたって携える杖(つえ)。仏教では比丘(びく)(僧)の所持する十八物の一つに数えられる。サンスクリット語のカッカラkhakkharaを音訳して喫吉羅(きつきら)、吉棄羅(きつきら)、隙棄羅(かつきら)、意訳して声杖(しょうじょう)、鳴杖(みょうじょう)、徳杖(とくじょう)、智杖(ちじょう)ともいう。『錫杖経』では、錫杖の宗教的意味を詳細に説いている。ほぼ目の高さほどの長さで、一般に3部分に分かれる。上部は塔婆(とうば)形にかたどって大環をつけ、その大環に数個の小環をかけて、振ったときに音が出るようにする。小環の数を6個として、菩薩(ぼさつ)修行の六波羅蜜(ろくはらみつ)を表すという俗説もあるが、『禅林象器箋(ぜんりんしょうきせん)』(28、器物門)はこれを否定している。中間の部分は木製の柄のものが多く、下部の(いしづき)は動物の牙(きば)や角(つの)でつくる。
 比丘が錫杖を携帯する理由は、『四分律(しぶんりつ)』(巻52)、『十誦律(じゅうじゅうりつ)』(巻56)、『大比丘三千威儀経(いぎきょう)』(下)などに説かれており、それらによれば、(1)行脚のとき振って音を出して蛇虫の害を避けるため、(2)年老の歩行を助けるため、(3)托鉢(たくはつ)のとき人々に来訪を知らせるためという。僧侶(そうりょ)が行脚することを飛錫(ひしゃく)または巡錫(じゅんしゃく)、一処にとどまることを留錫(りゅうしゃく)、掛錫(かしゃく)という。なお、日本の天台宗では、柄の短い錫杖を振って梵唄(ぼんばい)を唱える儀式があり、九条錫杖、三条錫杖とよばれる。[永井政之]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内の錫杖の言及

【山伏】より

… 鎌倉・室町時代にはこの修験道の山伏たちは,吉野,熊野,白山,羽黒,彦山(英彦山)などの諸山に依拠し,法衣,教義,儀礼をととのえていった。歌舞伎の《勧進帳》などで広く知られる鈴懸(すずかけ)を着,結袈裟(ゆいげさ)を掛け,頭に斑蓋や兜巾(ときん)(頭巾),腰に螺(かい)の緒と引敷,足に脚絆を着けて八つ目のわらじをはき,(おい)と肩箱を背負い,腕にいらたか念珠をわがね,手に金剛杖と錫杖(しやくじよう)を持って法螺(ほら)貝を吹くという山伏の服装は,このころからはじまった(図)。またこうした法衣は教義の上では,鈴懸や結袈裟は金剛界と胎蔵界,兜巾(頭巾)は大日如来,いらたか念珠・法螺貝・錫杖・引敷・脚絆は修験者の成仏過程,斑蓋・笈・肩箱・螺の緒は修験者の仏としての再生というように,山伏が大日如来や金胎の曼荼羅(両界曼荼羅)と同じ性質をもち,成仏しうることを示すと説明されている。…

【四箇法要】より

…〈しかのほうよう〉とも読む。《(ばい)》《散花(さんげ)》《梵音(ぼんのん)》《錫杖(しやくじよう)》の四箇の声明曲(しようみようきよく)を具備した法要をさす。またこの4曲自体をさすこともあり,〈四箇法要付きの舎利講式〉というような言い方も行われる。…

【法楽】より

…教えを楽しむという本来の意味から転じて,日本では神仏を喜ばせる行為,すなわち読経(どきよう),奏楽,献歌などを法楽と呼ぶようになった。すなわち法要を終わるにあたり,来臨している神仏のためにとくに声明(しようみよう)曲を唱えたり,経や真言を誦したりするもので,《錫杖(しやくじよう)》や《般若心経》などがよく用いられる。おそらく平安時代からそのように呼ばれるようになったと考えられる。…

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