国会対策委員会(読み)コッカイタイサクイインカイ

デジタル大辞泉 「国会対策委員会」の意味・読み・例文・類語

こっかいたいさく‐いいんかい〔コククワイタイサクヰヰンクワイ〕【国会対策委員会】

日本の政党内に置かれ、法案の内容や法案審議の進行について他党と連絡調整をする委員会国会の正規の機関ではなく、この各党委員会の交渉結果が、国会の正式な機関である議院運営委員会で討議され、そのまま通過するため、政府与党と野党との密室での裏取引の場という批判もある。国対。→国対政治

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「国会対策委員会」の意味・わかりやすい解説

国会対策委員会 (こっかいたいさくいいんかい)

日本の各政党が備えている党内機関の一つで,〈党の国会活動に関する事項を処理するため〉(自由民主党党則26条)というのがその設置目的の典型である。略称国対委員会。政党内部の一機関であって,国会の両議院に設けられた委員会ではない。政党組織に占めるその位置は,多くの場合,中央の執行機関の一部局であり,幹事長や書記長の統轄下におかれる(自民党党則27条,日本社会党規約53条など参照)。例外は日本共産党で,同党では国会議員団の一委員会であるにすぎない。従来の例では,政府提出法案の与党となる自民党の国会対策委員会は,法案の与党審査の最終段階で国会運営が自党に有利となるようにその国会提出期日などを決定する。また数名の副委員長は分担して議院常任委員会担当の責任者となり,関係省庁から提出される全法案の議事運営に責任を負う。その際〈国会対策〉という活動の内容は,党内向けと党外向けの二つに大別される。与野党対決の状況において流動する情勢をにらみながら,本会議などでの具体的な行動方針を決定し,自党の議員に周知徹底させることは前者一例である。もう一つの重要な側面は他党との折衝である。各党の国会対策委員は院の内外相互に接触の機会をもつとともに,適宜必要に応じて与野党間であるいは野党だけで国会対策委員長会談を開き,国会運営の局面打開の方策を協議する。したがって各党の国会対策委員となる議員には,他党に対する顔の広さと並んで議事手続への習熟が要求される。政党間交渉において制度的にはその場を異にしながらも,根まわしの能力の共通性に着目して,いわゆる〈議運族〉(議院運営委員会)と〈国対族〉とが同一の議員類型を示すとされるゆえんである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

知恵蔵 「国会対策委員会」の解説

国会対策委員会

国会運営を政治的に折衝する組織で、国会の正規の機関ではなく、各党が任意につくっている。55年体制の自民、社会両党主導の国会運営の時は、国会対策担当者の裏折衝で法案処理のお膳立てができて、カネも流れ、不明朗、不透明な政治の典型として国対政治といわれた。細川連立政権の誕生で、自民党が政権から離れ、国対政治の追放が叫ばれた。党によっては「国会対策委員会」の看板をはずしたところもある。国会運営は国会の正規の機関、たとえば議院運営委員会や各委員会の理事会で話し合いをする方向で改善が進められてきたが、近年は再び、国会対策委員長会談などがよく開かれるようになっている。

(星浩 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国会対策委員会」の意味・わかりやすい解説

国会対策委員会
こっかいたいさくいいんかい

日本で国会の運営や議事の進行を司る政党の機関の一般的名称。国対と略称される。国対は国会運営に関して他党との折衝を行う一方,自党の所属議員に対して党議の徹底などの統制も行う。国会の議院運営委員会 (議運) とは表裏一体の関係にあるが,議運が国会の常任委員会という公式機関であるのに対し,国対は政党の私的機関にすぎない。その国対が具体的政策を含め,国会審議全般を決定するような政治を国対政治と呼ぶ。しかし国対政治はあくまで非公式なものにすぎず,密室政治との批判が強い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「国会対策委員会」の意味・わかりやすい解説

国会対策委員会【こっかいたいさくいいんかい】

政党が国会活動の方針を決め,他党との国会運営の調整や折衝をするために設けた党内機関。国会運営の表舞台である議院運営委員会に対し,〈国対政治〉と俗に呼ばれる政党間の裏取引の場となるなど批判も多く,同委員会を廃止する政党も現れた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android