国判(読み)こくはん

精選版 日本国語大辞典 「国判」の意味・読み・例文・類語

こく‐はん【国判】

  1. 〘 名詞 〙 奈良平安時代令制によって国司証判を記入すること。また、その文書
    1. [初出の実例]「国判聴許已訖」(出典:東南院文書‐天平二〇年(748)一一月一九日・小治田藤麻呂解)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国判」の意味・わかりやすい解説

国判
こくはん

奈良,平安時代の私人の間の不動産の移動などに要した証拠手続の一つ。当事者より申請のあった場合,国司が関係書類に審査を加え,その趣旨の「明白」なることを連署して証明するもので,国印を添えるのが通例である。手続にあたっては,(1) 保証刀禰の判,(2) 郡判,(3) 国判が加えられる。受理する内容は,売却人からの売買関係証明の申請,所有権保持の申請,寄付行為の正当性証明の申請,関係書類の焼失紛失の際の申請などであった。平安時代中期以降,全国的に私領が増加すると意義を失い衰退した。京中の場合,手続は京職が行なった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国判」の意味・わかりやすい解説

国判
こくはん

国司(こくし)の裁許を求めて提出された牒(ちょう)や解(げ)に国司が認可する旨の文言を記したもの。国判の構成は、認可の内容(本文)、日付、位署(いしょ)(署名)、国印(こくいん)からなるが、やがて日付や国印は省略されるようになる。9世紀以前では、土地の売買の際に、郡判(ぐんばん)、国判を得る必要があり、10世紀以降では、諸院宮家、諸寺社が所領田畑の立券(りっけん)あるいは所当官物(しょとうかんもつ)、臨時雑役(ぞうやく)の免除を得るため、国判を求めた例が多い。国判の位置は、11世紀中ごろまでは牒、解の奥(左端)に、以後は裏または袖(そで)(右端)に加えた。

[富田正弘]

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世界大百科事典(旧版)内の国判の言及

【証判】より

…これに対して例えば京職などは,その文書の奥に署判を加え(のちには文言を入れたものもみられる),承認の意をあらわす。これらを職判,国判,郡判という。平安中・末期ごろからは,これらの文書は直接買得,譲与,施入を受けた人にあてられるようになり,特別な場合を除いて公権力による証判はみられなくなる。…

※「国判」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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