京職(読み)キョウシキ

デジタル大辞泉 「京職」の意味・読み・例文・類語

きょう‐しき〔キヤウ‐〕【京職】

律令制で、京都の司法・警察・民政などをつかさどった役所。左京職右京職に分かれ、長官を大夫だいぶという。みさとづかさ。

きょう‐しょく〔キヤウ‐〕【京職】

きょうしき(京職)

みさと‐づかさ【職】

きょうしき(京職)

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精選版 日本国語大辞典 「京職」の意味・読み・例文・類語

きょう‐しきキャウ‥【京職】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制の官職の名。左京職、右京職の二つに分かれて、京師の行政、司法、民政、警察などのことをつかさどった役所。長官を大夫(だいぶ)といい、正五位相当官。みさとづかさ。
    1. [初出の実例]「左右京職各六員」(出典:続日本紀‐和銅元年(708)八月庚辰)
  3. きょうとしょしだい(京都所司代)」の異称
    1. [初出の実例]「重宗を召して、京職に捕せられ」(出典:藩翰譜(1702)五)

みさと‐づかさ【京職】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、京師(けいし)の行政・軍事をつかさどった宮司。左・右がある。きょうしき。
    1. [初出の実例]「このころの我が恋力給はずは京兆(みさとづかさ)に出でて訴(うれ)へむ」(出典万葉集(8C後)一六・三八五九)

きょう‐しょくキャウ‥【京職】

  1. 〘 名詞 〙きょうしき(京職)

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改訂新版 世界大百科事典 「京職」の意味・わかりやすい解説

京職 (きょうしき)

日本古代において京域内を統轄するため,一般の地方行政組織(国郡制)とは別に特別に置いた官司。京職のことは685年(《日本書紀》天武14年3月条)に初めてみえるから,日本の古代京域は天武天皇の飛鳥浄御原宮の造営に伴って形成されたものであるらしい。京師を左右に分かちそれぞれに京職を設けることは,701年(大宝1)の大宝令発布以降の藤原京においてであるといわれ,以後の都城にうけつがれた。養老令によると,左右京職にはそれぞれ大夫(長官)1人,亮(次官)1人,大進(判官)1人,少進2人,大属(主典)1人,少属2人がおり,これら四等官のほかに坊令12人,使部,直丁が配されている。彼らの職掌は諸国の国司のそれにほぼ等しく,京内の行政・司法・警察のことをつかさどった。京職の庁舎は朱雀門前の坊内に所在していた。平安時代に入ると京職の職権はほとんど検非違使(けびいし)に移り有名無実な存在になった。官営市場を管理する東西市司は京職に属する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「京職」の意味・わかりやすい解説

京職
きょうしき

古代律令(りつりょう)国家における京の行政をつかさどった官司。和訓は「みさとのつかさ」。早く天武(てんむ)朝の飛鳥(あすか)京に京職が置かれたが、機構的に整ってくるのは藤原京以後である。当初単一の京職であったが、大宝令施行後、京域を朱雀(すざく)大路で東西に分け、左京職・右京職となった。左右京職にそれぞれ大夫(たいふ)以下の四等官と坊令(ぼうれい)を任じた。大夫は、京内の戸口、戸籍、田宅、租税、身分、訴訟、交易兵士、道橋など広範囲の職務にあたった。京畿内(きょうきない)七道諸国と総称される律令制の行政組織において、京職は国司とほぼ対応する位置を占めた。坊令は京内条坊の坊ごとに置いた。平安時代、律令国家衰退に伴い、司法、検察の権限は弾正台(だんじょうだい)や検非違使(けびいし)にとってかわられた。

八木 充]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「京職」の解説

京職
きょうしき

律令制下に京を管轄した中央官司。古訓はミサトツカサ。京が左右京からなっていたことと対応して,左京職・右京職がおかれた。長官の大夫(かみ),亮(すけ),大進(だいじょう)・少進,大属(だいさかん)・少属の四等官と,使部(しぶ)・直丁(じきちょう)・坊令からなり,東西市を管轄した東西市司も指揮下においた。地方の国司と同じく,京の行政全般を統轄したが,国司が外官だったのに対し,京職は内官(京官)として扱われた。京職の存在は,すでに7世紀後半の天武朝でも知られ,持統・文武両朝の藤原京の時代にもあったが,京職が左右に分化したのは大宝律令の成立以後。このような官員や職掌が整うのも,大宝律令の制定にともなう改革と推定される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「京職」の意味・わかりやすい解説

京職
きょうしき

令制における官制で,京師の民政を司った機関。初見は天武 14 (685) 年。京師を左右両京に分け,左右両京職をおいてこれを管轄させた。大夫,亮,進,属の4等官および坊令などの職員がおかれ,京内の戸口名籍を司り,課役を徴収し,官設の市を統轄し,警察,訴訟を司ったが,平安時代には衰微して,その権限は縮小し,警察・裁判権は検非違使 (けびいし) に移った。

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旺文社日本史事典 三訂版 「京職」の解説

京職
きょうしき

律令官制の一つで,京の一般民政をつかさどる官職
京は中央の朱雀大路 (すざくおおじ) によって,左京と右京に分かれ,それぞれ左京職・右京職が置かれた。京職は国司に準じる職掌で,大夫 (たいふ) 以下の四等官があり,下級官庁として,市を管理する東市司・西市司が付属していた。のち検非違使 (けびいし) 設置により有名無実となった。

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百科事典マイペディア 「京職」の意味・わかりやすい解説

京職【きょうしき】

律令制時代の官司。都の司法・行政・警察をつかさどる。平安時代に警察権が検非違使(けびいし)に移った後は有名無実化した。

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普及版 字通 「京職」の読み・字形・画数・意味

【京職】けいしよく

京官。

字通「京」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の京職の言及

【巷所】より

…しかし11世紀後半になると,条坊内部の土地と区別された巷所が出現する。政府は道路を管理する京職(きようしき)に命じて巷所を禁止する方針をとっており,初期の巷所,特に小規模のものは不安定であった。しかし巷所はますます増大し,13世紀末から14世紀初めごろに,政府は巷所禁止の原則を放棄した。…

※「京職」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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