国家論(ボーダンの著書)(読み)こっかろん(英語表記)Les six livres de la République

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

国家論(ボーダンの著書)
こっかろん
Les six livres de la République

16世紀フランスの思想家ジャン・ボーダン主著。全6巻。近代主権論を最初に定式化した作品として有名。フランス語版は1576年、ラテン語版は1586年刊行。ボーダンは国家と他の社会体とを区別するものとして「絶対的かつ永続的権力」としての主権を導入し、それによって外部の権力者や臣下によって拘束されることのない主権者の絶対権力を擁護した。主権のなかには立法権、外交権、課税権、人事権、裁判権などが含まれている。主権の目的は安全と平和を回復することにあり、当時宗教戦争渦中の国々にとってその回復は切実であった。ボーダンはまず主権によって秩序を回復し、そのうえで正義にかなった統治を実現しようとしたのである。

佐々木毅

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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