国民生活の安定と向上に寄与するための調査・研究、情報の提供を行う独立行政法人。2003年(平成15)10月1日に、独立行政法人国民生活センター法(平成14年法律123号)に基づいて設立された。
前身は1970年(昭和45)国民生活センター法に基づき発足した特殊法人「国民生活センター」。2004年の消費者保護基本法の改正に伴い制定された消費者基本法では、国民生活センターの役割として、消費生活に関する情報提供収集や、事業者と消費者との間に生じた紛争の合意による解決などが明記された。2009年に施行された消費者安全法においても、同センターが、都道府県や市町村が行う消費生活相談等の事務の援助や、消費者事故等に関する情報の集約等に関して一定の役割を担うこととされている。
同センターと全国の消費者生活センターとを結ぶ全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET(パイオネット))等を通じて、消費者生活に関する情報の収集とその活用・提供を行うとともに、消費生活相談、消費者啓発、商品の安全性や品質にかかわる商品テストなどを実施し、その結果を公表している。このほか、消費者団体、行政、企業などで消費者問題を担当する専門家養成のための講座の開講や、消費生活専門相談員資格認定制度を実施している。また消費者紛争を解決するために、同センターに紛争解決委員会が設置され、和解の仲介と仲裁を行っている。各都道府県、政令指定都市および一部市区町村の消費生活センターをネットワークとしてもち、地域住民の要望に応じている。機関誌として『国民生活』『たしかな目』(月刊)、『国民生活研究』(季刊)、『くらしの豆知識』『消費生活年報』(年刊)などを刊行し、メールマガジンを通じて、消費生活に関する情報を提供している。
相模原(さがみはら)市(神奈川)、港区高輪(たかなわ)(東京)に事務所があるほか、高輪には消費者問題に関する図書、資料を収集した情報資料館があり、閲覧、貸出をしている。
[森 真澄・山田健吾]
消費者保護を目的として,国民生活センター法(1970公布)により設立された特殊法人。2003年に独立行政法人となった。1962年設立の国民生活研究所が前身。東京都港区にあり,神奈川県相模原市中央区に大規模な研修・テスト施設を持つ。直接に苦情処理を行うほか,消費者問題についての調査研究と情報の収集を行い,その成果を定期刊行物(《国民生活》《国民生活研究》《たしかな目》など)その他のかたちで提供する。また,研修養成講座なども実施し,全国の地方消費生活センターの中心をなしている。
執筆者:久世 了
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(篠崎悦子 ホームエコノミスト / 2007年)
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