国連人間居住会議(読み)コクレンニンゲンキョジュウカイギ(英語表記)Habitat;United Nations Conference on Human Settlements

デジタル大辞泉 「国連人間居住会議」の意味・読み・例文・類語

こくれん‐にんげんきょじゅうかいぎ〔‐ニンゲンキヨヂユウクワイギ〕【国連人間居住会議】

ハビタット1

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国連人間居住会議」の意味・わかりやすい解説

国連人間居住会議
こくれんにんげんきょじゅうかいぎ
Habitat;United Nations Conference on Human Settlements

1972年の国連人間環境会議で開催が提案され、76年にカナダバンクーバーで132か国および100以上の国際組織、非政府組織の代表を集めて、世界の人間の居住環境の改善のために開かれた会議。ハビタットともいう。会議では、発展途上国の提案に基づき、人間居住に関するバンクーバー宣言採択された。宣言は、人間居住環境を悪くしている要因として、自然環境の破壊だけでなく、植民地支配、人種差別侵略といった政治的要因や、経済の不公平な発展といった経済的要因をもあげ、それらを除去する必要性を強調している。この会議の提案により、1978年に国連人間居住委員会と人間居住センターが設立された。

 また、1996年にはトルコイスタンブールで第2回会議(ハビタットⅡ)が開かれ、「イスタンブール宣言」と「世界行動計画」からなる「ハビタット・アジェンダ」が採択された。イスタンブール宣言では、すべての人々に適切な居住を得る権利居住権)を最大限に、段階的に実現していくことが居住政策の目標であるとされ、世界行動計画では、こうした政策を実行に移していくうえでの、都市への人口集中が強まっている発展途上国への国際協力の推進が求められた。

[佐分晴夫]

 2001年の第56回国連総会の決議を受けて、2002年に国連人間居住委員会と人間居住センターは機能を強化するために国連人間居住計画United Nations Human Settlements Programme(国連ハビタットともよばれる、本部ケニアナイロビ)に改組された。なお、アジア太平洋地域事務局が福岡市に設置されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「国連人間居住会議」の意味・わかりやすい解説

国連人間居住会議【こくれんにんげんきょじゅうかいぎ】

都市化する世界と持続可能な住居の確保をテーマとした国連の会議。第1回会議は1976年にカナダのバンクーバーで開催,第2回会議は1996年にトルコのイスタンブールで開催された。第2回会議はハビタットII(ハビタットツー)とも称される(ハビタットhabitatとは〈快適な住居〉の意)。人口の都市集中化現象に伴い,都市における住居の確保,スラム化の防止と解消,疫病の防止,飲料水の確保など,都市の生活環境改善をテーマとした。特に途上国における都市諸問題の深刻化が焦点となった。 人間の基本的権利である〈居住権〉を確認する〈イスタンブール宣言〉とその権利を実現するための〈世界行動計画〉を採択。〈宣言〉は住居問題の解決のために非都市部で雇用をつくり出すことや生活基盤の整備の必要性をうたっている。また〈行動計画〉では,途上国の自助努力の範囲を超えるとして,外部からの新たな資金確保の必要性を主張している。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国連人間居住会議」の意味・わかりやすい解説

国連人間居住会議
こくれんにんげんきょじゅうかいぎ
United Nations Conference on Human Settlements

ハビタット HABITATと略称される。都市の生活環境改善を目的とした国連会議のひとつで,都市サミットとも呼ばれる。都市部への人口集中は世界的な規模で広がっており,スラム化をはじめとして居住環境は急激に悪化している。そのため都市における住居の確保と衛生面の整備だけでなく,労働,教育,各種サービス面での対策を含め,環境と開発の調和が大きな問題となった。 1976年カナダのバンクーバーで開かれた第1回会議に続き,96年6月にトルコのイスタンブールで第2回会議が開かれた。各国の非政府組織 NGOも参加した同会議では,適切な環境のもとで暮らす居住権を基本的人権であるとしたイスタンブール宣言が採択されたほか,その実現に向けた世界行動計画が打出された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の国連人間居住会議の言及

【国連人間環境会議】より

…具体的な成果としては,人間環境宣言や行動計画の採択,環境分野の企画調整機関としての国連環境計画(UNEP)の新設(本部はナイロビ)とその運営資金たる環境基金の創設(1973),日本の提案になる世界環境デー(毎年6月5日)の制定,海洋投棄防止条約等の各種条約,協定の締結等がある。 この会議は,その後に開催された一連の大会議(1974年の世界人口会議,76年の国連人間居住会議(HABITAT),77年の国連水会議と国連砂漠化防止会議など)のはしりともなり,人類社会が直面する重要問題への挑戦の第一弾として永く記憶されるであろう。【加藤 三郎】。…

※「国連人間居住会議」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android