朝日日本歴史人物事典 「土居清良」の解説
土居清良
生年:天文15(1546)
戦国から江戸時代初期にかけての伊予国(愛媛県)の小領主。清貞の子。「せいりょう」ともいう。宇和郡大森城(北宇和郡三間町)を本拠とする。西園寺公広に仕え,長宗我部元親の侵略を防ぐうえで功績があった。天正15(1587)年,戸田勝隆が新たに宇和郡の領主となるにおよび,下城し隠棲。その生涯を記した軍記物語『清良記』(全30巻,あるいは32巻)は,戦国末期の小領主の姿をよく伝えている。また同書第7巻は特に『親民鑑月集』と呼ばれ,日本最古の農書とされるが,著者(土居水也か),成立年代には諸説がある。従ってその内容が必ずしも清良の生きた時代のものとはいえないまでも,戦国末から近世への移行期の農業の諸相を伝える史料としては貴重である。死後,村民の手により清良神社が建てられ,今なお篤く敬われている。
(山内譲)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報