翻訳|dredger
ドレッジャーともいう。航路や泊地の海底の浚渫,埋立てを行う船。作業場所の土質,土量,地形などによって各種形式の船が使い分けられる。(1)ドラグサクション浚渫船 大規模航路浚渫などに使用される。玄側,船尾,あるいは船底中央部に設けられたドラグアームを海底に着底させ,低速で曳引しながらアーム先端のドラグヘッドから土砂を浚渫ポンプで吸引し,船体中央部の泥倉に積み込む。硬土質浚渫用としてドラグヘッドに高圧水ジェットノズルを装備した例もある。浚渫土砂は土捨場に運搬し,泥倉下部の船底扉を通して投棄する。自船のポンプで排送する場合もある。浚渫深度は20m前後。4万m3/h以上の大容量ポンプを装備する大型船もある。(2)ポンプ浚渫船 浚渫ラダー先端のカッターヘッドの回転で切削した土砂をポンプによって吸引する。土砂の排送はパイプラインや土運船により行う。大型船では浚渫深度35m程度,ポンプ容量1万5000m3/hの能力がある。非自航式が多いが,スパッドを海底に打ち込み前進する形式やジャッキアップ形式の船もある。浚渫時の海中の土砂のかくらんを防ぐカッターレス型のへどろ専用浚渫船もある。(3)ディッパー浚渫船 硬土質土砂や岩盤の浚渫に用いられるもので,船首尾にある昇降自在のスパッドを海底に立てて船体を固定し,船首のディッパーアーム(長柄)の先端のバケットで掘削する。(4)バケット浚渫船 砂や軟土質の浚渫に適し,バケットコンベヤにより連続的に土砂をすくい上げる。比較的大規模浚渫用である。自航および非自航式がある。(5)グラブ浚渫船 全旋回式のジブクレーンとグラブバケットを備え,硬土質の浚渫も可能であるが,作業が断続的であり比較的小規模の浚渫に用いられる。浚渫深度の制約を受けない特徴がある。クレーン船として使用することもできる。
→浚渫
執筆者:国武 吉邦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
水底の土や砂を掘り取って水深を深くする船。浚渫専用の機械を備え、河川や港湾の工事に用いられる。浚渫方式により分類されているが、おもなものは次の4種である。
(1)ポンプ浚渫船 強力なポンプで吸込管から土砂を水とともに吸い上げ、水上に浮かせた排送管で陸上へ送る。吸込管の先端に、大きな石や木材などを吸い込まないように格子をつけ、また水底が固い場合には回転式のカッターを取り付けたりする。いろいろな土質に適するので、臨海工業用地の造成など大規模な埋立て工事に多く用いられる。
(2)ディッパー浚渫船 パワーショベルに似た柄杓(ひしゃく)型のディッパーで土砂をかき上げる。硬い岩盤を浚渫するために砕岩装置を取り付けることもある。掘削力が強く、硬い土質や岩石が多い港湾工事などに使われる。掘り取った土砂は土運船で陸上に運ぶ。ポンプ浚渫船とディッパー浚渫船は、ほとんどが推進装置のない非自航式である。
(3)グラブ浚渫船 グラブバケットを水底に落下させて土砂をつかみ上げる。浚渫能力は小さいが、小回りがきくので狭い場所の浚渫に便利である。また、土砂が不均質であったり、水深の変化が多い場合にもよく使用される。土砂を入れる船倉をもち自航するものもある。
(4)ドラグ・サクション浚渫船 船を走らせながら水底の土砂を吸い上げる。土砂は泥倉に入れ、泥倉がいっぱいになると捨土地まで航走し、泥倉の底の扉を開いて捨てる。
[森田知治]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新